〈勝海舟が江戸無血城の立役者というのはウソ〉
幕末に最も活躍した幕臣の一人とされるが、昨今の研究によって、その功績の多くがデタラメであることがわかっている。「氷川清話」ではなんでも自分の手柄のように記しているが、他の史料や証言と照合すると、この自己記録は非常に矛盾が多い。江戸の総攻撃中止は勝が主導したと言い張るが、山岡鉄舟の活躍があったからこそである。
〈吉田松陰は冷静な判断を下す現実主義者というのはウソ〉
明治維新の礎を築いたとされる松陰だが、理想主義に燃えるあまり、短気で無鉄砲で無配慮な人物であった。維新後に教え子たちによって顕彰され、功績ばかりが強調されてきたが、史料を見る限り、年相応の配慮がない。藩にとっては危険思想だから投獄は当然、江戸に移送されて間部襲撃計画を自ら暴露し刑死も妥当であろう。
〈日本が欧米列強より遅れた国だったというのはウソ〉
江戸時代の日本は後進国だったと、大昔に習ったような気がする。ところが、実際は治安、物流、教育などのインフラは欧米より優れていた。といったように、そうだったのか~違ったことを教わってきた、と思う物件が少なくない。しかし、これが正しい歴史だとふりかざすのは野暮。エンタメとして鷹揚に扱いましょう。
編集長 柴田忠男
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