【書評】北や中国を擁護する東京裁判史観と、井伏鱒二との共通点

 

やはり毛沢東は奉るべき国父である。いま中国がソフトに見えたとしても(見えないけど)、天安門から毛沢東が消えないうちは我々は安心してはいけない。そして台湾である。台湾が日米関係の枠外に出たら、東シナ海から西太平洋全般に渡って中国の支配下に入る。にもかかわらず、アメリカがどこかノホホンとしているように見えるのは、アメリカに正しい歴史認識がないからだ。

大東亜戦争は好戦的な日本による侵略戦争であった」という東京裁判の大前提を頭から信じ込んでしまうと、「戦前の日本はひどい国だった」という結論しか出てこない。東京裁判を主宰したマッカーサーは、朝鮮戦争を体験することにより、日本の置かれている地理的条件や戦前の日本が追いつめられていた状態を自ら感じ取って、東京裁判の前提の間違いを正し、日本自衛論に転じた

思い込みの「空論」から、自ら体験した「確信」へ。ところが「空論」を後生大事に抱え込んで「日本が悪かった」と言い続けてきたのが戦後の歴史教育であり、進歩的文化人(いまどきは誰もそう呼ばない)であり、マスコミだった。それが戦後日本人に与えてきた悪影響は計り知れず、今も引きずっている。

渡部は満洲建国についての最重要文献としてレジナルド・ジョンストンの書いた『紫禁城の黄昏』を挙げる。映画「ラストエンペラー」がヒットすると岩波文庫が翻訳して出したが、満洲国の成立や当時の政治状況がいちばんよく分かる部分(1~10章16章を全文カットという文化的犯罪をやらかした。中国に忖度したからだ。岩波は戦後、北京政府の手先であった。今も?

この本を改めて読んだら、とても興味深い話がぞろぞろ出てきた。12年前のわたしはどこを読んでいたんだ。戦後は左翼、リベラル、コミュニストが蔓延ってきた。朝日や岩波などに論陣を張ってきた学者、評論家、ジャーナリストなどの手によって、洗脳が延々と続けられてきた。わたしもされる側にいたが、一時期は漫画しか読まないバカだったのが幸いして、染まらずに済んだ。

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