カネカ、阪急の大炎上。お粗末な「無自覚」が招いた最悪の結末

 

同じような事例として、阪急電鉄の問題があります。問題になったのは、車内広告のキャンペーンで、神戸線など3つの線で1編成の車両全部を一貫したメッセージ広告で埋めた「ハタコトレイン」というものです。

● 阪急の中吊りが大炎上。「月50万で生き甲斐ない生活」に批判殺到

企画をしたのは、パラドックスというコンサルティング会社でした。対象となったのは8両編成で、すべての車両の中づり広告に、「働き方」に関するメッセージを出したのです。パラドックスのサイトによれば、まず「働く言葉たち」という同社のプロジェクトがあり、要するに仕事に対するモチベーションを高めるような言葉を集めて社会に広めるということをしているようです。

具体的には、その「言葉」を本にしたり、サイトにアップしたりという活動で、今回は関西でその「言葉」をパブリックに拡散するためのプロジェクトであったようです。

問題は、例えば次のような事例です。

毎月50万円もらって毎日生きがいのない生活を送るか、30万円だけど仕事に行くのが楽しみで仕方がないという生活と、どっちがいいか。
研究機関研究者80代」

私たちの目的は、お金を集めることじゃない。地球上で、いちばんたくさんのありがとうを集めることだ。
外食チェーン経営者40代

といった文章です。これに対しては、「給料よりやりがいを重視しようという趣旨のものが多い」とか、「30万円という金額が安い方の例として示してあるが、私の給料はそんなに高くない」とか「ありがとうを集めるというのは有名なブラック企業の創業者のスローガンではないか」「やりがいと生きがいを前面に出していて不愉快」「時代にそぐわない」といった批判が寄せられているようです。

一体何が問題だったのでしょうか?2つあると思います。

第1の問題は、どういうわけか、「ビジネス世界の内側向けのメッセージが、もっともっと多様であるはずの「個人消費者向けの媒体に大規模に露出してしまったということです。これは、コンサル側のミスだと思います。

第2の問題は、阪急の側のミスです。明らかにメッセージの発信ミスを行なっているのに、そして全車両の広告買い切りという派手なことになっているのに、「これはコンサルの問題で、内容については関係ないという逃げを打ったというのはマズいと思います。一枚の吊り広告ならともかく、全車両買い切りですから、当然そのメッセージには「阪急も賛同している」と思われる、これが自然です。

もっと言えば、コンサルのサイトには「阪急とのコラボ」だということがハッキリ表現されているのですから、阪急としては逃げられないと思います。

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