ここまで時差について簡単にお話ししました。1881年に会議でグリニッジ天文台を経度0度とし、ここを標準とすることにした、という話です。
これは、ここまでは正しいのですが、現在のこととなると、実は微妙に違ってきています。
グリニッジ天文台の位置を基準にした時間については「グリニッジ標準時」と言い
- Greenwich Mean Time (GMT)
と呼んでいます。これは長らく「世界の標準」とされてきて「世界標準時」と言われてきました。
ところが、今は、原子時計を元に算出される時間を標準としよう,ということが協定で決められていて、そのため、今の「世界の標準」は「協定世界時」とされています。協定世界時は
- Universal Time Coordinated (UTC)
と表記されます。何が違うかというと、GMTは天文的に観測されて出される時間です。UTCは原子時計の算出する時間です。実際にはほぼ同じです。私たちの日常生活でこれの違いが気になることはないと言っても問題ないでしょう。
天文的に観測されるGMTの方は、実際の地球の自転の影響で微妙なズレが生じますが、原子時計というのはほぼズレませんので、UTCの方は変化ありません。そうすると両者に少しずつズレが生じてくるのですが、その差が0.9秒以内に収まるように常に調整されています(それを超えるズレが生じそうになったら「うるう秒」で調整されます)。
実際の私たちの日常生活では、世界の標準時がGMTなのか、UTCなのか、ということは、まあほぼ影響ないでしょう(知ってなくてもどうってことはないことをちょくちょく書いているのがこのメルマガです)。ただ、
世界の標準時はグリニッジ天文台の位置を0度として決められた
という豆知識は割と多くの人は知っているのですが、
現在は、原子時計による協定世界時となっている
ということは意外に知られていないかもしれない、と思いご紹介しました。
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