(3)イエメン本拠の武装組織『フーシー派』
3つ目は、イラン繋がりとされているアンサール・アラー(イエメンを本拠とする武装組織で、通称『フーシー派』)による仕業との見方です。
これは、先の2つに比べると、もう少し信憑性が高まります。その理由は、安倍総理がテヘランに到着する日の早朝に、サウジアラビア南部のアブハ空港に巡航ミサイルを撃ち込んだと言われ、それはアメリカに対する一撃との見方が強いからです。
良くも悪くも(私はポジティブな意味で使いますが)、安倍総理はトランプ大統領と近いという立場にありますので、その【安倍総理が代表する日本の権益を、フーシー派が狙い、和平・融和に向けた動きに水を差す】という“狙い”があったのではないかとの見解です。
確かに、『動機』も『能力』も備えていますので、先の2つに比べると信憑性があるように思われますが、私はこれも可能性は低いのではないかと見ます。
その理由は、まず、彼らは確かにイラン革命防衛隊の支援を受けていると言われていますが、あくまでも敵はサウジアラビアです。それにイラン革命防衛隊の支援を受けているというのが“事実”であるならば、今、イランが直面する緊張の緩和のために用いることが出来るチャンスをみすみす潰しには来ないでしょう。
そして別の理由として考えられるのは、攻撃能力も武器も保有していますが、サウジアラビア以外の対象に用いるとは考えづらいことでしょう。
(4)アメリカによる「自作自演」
4つ目の可能性は、【アメリカによる“自作自演”】です。思わず耳を疑いたくなる可能性ですが、実はベトナム戦争時に前例があります。
それは1964年に起きたトンキン湾のケースです。表向きは北ベトナムの哨戒艇がアメリカ海軍の駆逐艦マドックスに“2発の魚雷”を打ち込んだ事件で、これを機にアメリカはベトナム戦争に本格介入し北爆を行いました。
しかし、後日、これがアメリカによる【戦争介入のための自作自演】であったことが発表されています。ここまでの描写を読まれて、何だか、今回の案件に似ているように思いませんか。