Tポイントの離脱が止まらない。崖っぷちTSUTAYAの生き残る術

 

ツタヤの再構築を急ぐカルチュア・コンビニエンス・クラブの明日

同社は今、メディアショップ「ツタヤ」の再構築を急いでいる。本の買い切りを導入し、出版社各社と交渉。これまでの出版流通で行われてきた返品を前提とした委託販売を取り止める方向に舵を切った。売場に関しては大型化。採算の合わない小型店は閉めて、カフェやアパレルなどと融合した複合化を進め、活性化を推し進める。

ツタヤでは、2018年1月~12月の書籍・雑誌の販売額が1,330億円となり過去最高を更新した。新規オープンの平均坪数は約700坪で、広々とした空間でコーヒーを片手に本を座り読みできる、「BOOK&CAFE」スタイルを推進。店頭では、データベースを活用した消費動向分析をもとに、売場展開や作品選定を実施したことが、功を奏したとのことだ。

ツタヤの店舗数は、18年12月末現在で約1,300店。5年ほど前には1,500店に迫るほどあったので、減少している。その代わり、店舗面積が増え居心地の良い空間を充実させている。

CCCが踏み込んだ本の買い切りは、今まで出版流通を支配してきた卸売業者である取次の機能を弱め、小売である書店が主導権を握る方向に変わる可能性がある。アマゾンジャパンも、今年1月に年内に試験的に本の買い切りを始めると表明していたが、鉄壁であった取次の流通網にほころびが見えてきた

CCCが本の買い切りを始める理由は、40%とも言われる返品率の異常なまでの高さがある。返品のための配送費負担の重さが、流通上問題になっていた。それを改善し、生じた利益を書店と出版社で適正に配分する仕組みをつくり出し、拡大することを狙っている。

「出版社様、取次様の抵抗が大きいとは、われわれは感じていません。むしろ今後も日本の出版文化を守っていく仲間として、一緒に構造を改善していく、大切なパートナーだと考えています」(ツタヤ広報・多田大介氏)

要は、取次も高過ぎる返品率に苦しんでいるのが実情である、とのことだ。ただし、返品しない買い切りは書店のみがリスクを負うため、不良在庫を持たないようにするあまり、売れ筋のみが書店に並ぶことになりかねない。そうなると、本の持つ多様性が失われてしまう。この危険性をCCCは強く認識しており、一部返品枠を設けた買い切り施策になる。近年の店舗は、面積を広く取っており、多くの本が置ける書棚を確保することで、品揃えの多様性を担保している。

なお、雑誌に関しては既に月刊誌の約20%を買い切りにしており、値引きを行っている。それに対して、書籍に関しては値引きの予定はない

同社では、主婦の友社、徳間書店、ネコ・パブリッシング、美術出版社などの出版社を次々と傘下の連結グループ会社としており、取次大手の日本出版販売とも合弁の取次会社MPDをつくっている。このように、川上から川下まで出版流通を押さえる戦略を取ってきたこともあって、買い切りができるようになった。

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