日本の最高裁判決に根拠あり。韓国「徴用工」問題が再燃した理由

kp20190711
 

日韓関係悪化の一つの要因となっている「徴用工問題」。日本は「日韓基本条約で解決済み」との立場を取っていますが、韓国の法廷が主張する財産差し押さえ「請求権」の訴えは、2000年代に入ってから出された日本の最高裁判決に基づいているようです。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴31年目を迎えた日本人著者が、徴用工訴訟問題を担当する韓国弁護士の言葉をひきながら、彼らが今なお「請求権」を求める背景を詳しく解説しています。

徴用工裁判は日本の最高裁の判断が基礎になっている

安倍首相が韓国への半導体輸出規制処置を出してから、韓国内では日本製品不買運動が激しさを増している。1人デモといって、一人で大使館などの前に立ってプラカードを掲げながらデモをしている人らがいるし、デパートでは「うちは日本製品をおいておりません」というステッカーを貼って日本製品除外運動をくりひろげるところなど日増しに日本タタキ、日本製品タタキがそのレベルを高めている。今は日本製品タタキだけれども、もちろんその中心にはアンチ日本という気持ちががっちりとすくっているわけだ。こういう雰囲気は、満30年を越えて31年目にはいっている筆者の韓国生活のなかでははじめてのことだ。どうなっていくのか予断を許さない状況だけれど、こんなときこそお互い冷静なる対処が必要だとも考える。

さて今回は、徴用工裁判は韓国人が独りよがりに過去を蒸し返して起こされたものじゃなくて、実は日本の最高裁の判決がその基礎になっているということについて書いて見たい。

強制徴用者(徴用工)問題の原点というか日本人としての基本的な気持ちは、1965年の日韓基本条約ですでに解決済みのはずなのに、なんで今更過去を蒸し返してこんな裁判を起こしてくれたんだよ、という気持ちだと思う。

ここのところをちょっと詳しく見てみよう。1965年に日韓基本条約が結ばれた。その中の四つの協定の一つが請求権に関するもので、韓国政府はこのとき日本から「無償3億ドル(現在のレートで約320億円)、長期低利2億ドル(約220億円)相当の物資」を受け取った。韓国の輸出総額が年間2億ドルにも満たなかった時代のことだ。この資金によって浦項製鉄ができ、京釜高速道路などが建設されたわけだ。これによって完全かつ最終的に請求権問題は解決されたとされている。なのになんで今また韓国から日本の企業に対して損害賠償の訴訟がなされているのか。この部分が筆者にとって最大の疑問だった。

ところできょう、偶然、チェ・ボンテ(崔鳳泰)という弁護士のユーチューブを見て驚いた。この弁護士は徴用工訴訟問題を最初から担当してきている韓国の弁護士である。このチューブは、「朝鮮半島の今を知る」という題のもので、2019年4月15日に日本記者クラブに招かれた崔鳳泰弁護士が記者たちを前に講演をし、質疑応答に答えるという内容のものだ。ソウル大を卒業しさらに東京大学でも労働法について学んだ弁護士である。「つたない日本語ですが、通訳をいれると時間がかかるので直接日本語でやります」、と前置きしての講演だった。

崔鳳泰弁護士が日本の記者たちを前に語った内容の中でいちばんのポイントは、1965年の日韓基本条約では確かに完全かつ最終的に請求権は解決されたと書かれているが、日本の最高裁の判断は、「請求権は残されているから関係者は自ら救済せよ」という内容があるというもの。ここ、ちょっと詳しくみると、西松建設に対する日本の最高裁の判断が2007年4月27日に出た。中味はサンフランシスコ講和条約で処理された戦後処理の意味がなにかということに対する法的判断なのだが、「実態的な請求権は消滅していない。存在している。しかし裁判で訴える権能は(上記基本条約のため)なくなっているので、裁判上の救済はできない。だがしかし請求権は残されているから関係者は自ら救済せよ」、ということが日本の最高裁の判断というものだ。

日韓条約もサンフランシスコ講和条約の枠組みの中にはいるものだから、当然韓国の被害者にも当てはまることになる。日韓条約で完全かつ最終的な解決ということを掲げているのだが、法的には請求権が残されているということになる。

加害国(日本の法廷がこういう判断を下しているのだから、被害国(韓国の法廷でも勝てると崔鳳泰弁護士は思った。加害国の法廷がこう言ってるのだ、つまり、被害者が救済されていないから救済すべしと。加害国の法廷がそういっているのに、被害国の法廷で反対のこと(つまり請求しないこと)はできないし、してはならないのはあまりにも当然。

2009年、大韓弁協の会長を通じて日弁連に要請した。日弁連の会長がそのときOKしてくれて、2010年12月に東京で共同宣言があった。併合条約の歴史認識に対しては双方、今まで一致していない。日本の立場は合法韓国の立場は違法。それはそれと認めたうえで、被害者問題は人権問題として十分解決可能だという観点から従軍慰安婦問題に対して解決策を打ち出したし、強制動員問題に対しても2007年の日本の最高裁の判断にしたがって同一方式で解決するのがいいという内容の共同宣言だった。

この共同宣言が出たあとは、その内容を韓国の大法院にもっていってこういう宣言があるから、正確な法律的な判断をしてくれといった。韓国と日本の司法部の判断はちがう部分もあるが、ほとんどの部分は一致している。被害者が救済されていない。1965年の協定を結んだときも救済されていない。今も。しかも今も救済する価値がある

この2点のこと(被害者が救済されていない救済する価値があるの2点)から「請求権が残されている」のだから自ら救済せよということになるわけだ。

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