現役教師が暴露、夏休みの宿題テキストが無くならない大人の事情

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いつの間にか、児童各々の家庭環境や、学習理解度を考慮をせず、ワークブックなどの一律配布スタイルが定着した「夏休みの宿題」。今回の無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』では著者で現役教師の松尾英明さんが、読者から届いた悩みに返答する形で、画一的で受動的な宿題と上手く付き合う方法を具体的に記しています。

「夏休みの友」を考える

読者の方から、質問をいただいたのでお答えする。夏休みの宿題の在り方についてである。

どこから、どう変えていけばよいのか、ヒントをぜひ、メルマガでいただけるとありがたいです。無しにするなら、どこからアタックすればいいのでしょうか。

慣習」としてある様々なあれこれを変えられないのが、現場の教師の切なる悩みである。ここに関してお答えする。

何よりも最優先で、真っ先に考えるべき点がある。

一番の当事者である子どもと家庭教育の主役である保護者の意見考えである。一番大切なこれらの人の意見が置いておかれて、すべて学校が一方的に決定していることが多いのが現状である(10年以上前からの「例年通り」で議論の余地も工夫もないひどいものも散見される)。

宿題について扱う場合、これは本来家庭教育の分野である。実施時の監督責任者は、学校での教師から家庭での保護者に移る。つまり、保護者の了解を得ない大量の宿題というのは本来あり得ない負担はすべて家庭だからである。

しかし、これがまかり通っている。なぜか。「慣例」「暗黙のルール」だからである。中学校あるあるの「1年生は白ソックスのみ、第一ボタンを開けてはいけない」みたいな謎の慣例と同じである。「私たちも苦労したから」「いじめられたからいじめていい」というような理不尽な論理である。そして慣例としてみんながそう信じているものには、強大な力がある。

ここは本来、口出ししていい部分である。我が子がその課題をこなすのにどれぐらいかかるか、理解していない(というより全く考えていない)可能性が高い。

「夏休みの友」のようなドリル、ワーク集の類が一番わかりやすい。あれを個別に相談せずに丸投げした宿題というのは弊害が相当に出る(ちなみに、私も過去にこれを実施したことが一度や二度ではない。深く考えていなかったという点においても、全くの同罪である。贖罪の念を込めて書く)。

はっきりいうと、このワーク集の最大の良い点は経済が回ることである。教材を作る会社と売る会社に多くの利益が出る。最近では、加えて代行業者にもお金が回っていくようである(こちらは自由研究系の宿題の需要がより高い)。この辺りの利益を享受できる人々からすれば、「夏休みの宿題をなくすという考えの輩は排除すべき存在である。

夏休みの宿題系は、お金以外にもとかく利権問題等の大人の都合が関わるものが多いのでなくしづらいのである。一教諭の判断だけでは簡単になくせない理由がここにもある。

夏休みワーク集の宿題には、最大の問題点がある。個人差に対応していないことと、学力面で平均値から大きく外れている子どもにとっては、全く役に立たないどころか害悪になることである。

見開き2ページの問題をやるのに、Aさんは2~3分で終わる。すべて理解しているこの子どもにとっては、ほぼ無意味な作業の繰り返しである。「人生は無意味なことでも、我慢して取り組まなければならない」という面を学ぶにはいいのかもしれない。

一方、Bさんは60分かかる。Cさんに関しては、2時間かかる。極端な例のようだが、どの学級でもよくあるごく一般的な話である(過去十数年に何度も面談等で相談されていることで、間違いない。授業をしていてもわかる)。

BさんやCさんのご家庭が真面目にこれを終わらせるとなると、とんでもないことになる。しかも、ご両親は働いていて、日中宿題を見てくれる人はいないというパターンも多い。たまに見てあげれば、我が子のあまりの遅さと理解の悪さにイライラして叱るはめになり、子どもの自尊感情も下がる。当然、ただでさえ苦手意識をもっていた子どもがより勉強嫌いになる。

どうするか。最終的にさっぱり意味のわからない答えを丸写しするしかない。この行為から何を学ぶかは、言わずもがなである。

いつでも、その教育行為が「子どもを悪くしているかもしれないという可能性を考える必要がある。善意から発している、あるいはただの慣例としてやっていることの中に、これが多い。

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