東京では7月というところも多いようですが、地方で8月の中旬といえば「お盆」。そんなお盆についてきちんと説明できるという方、案外少ないかもしれません。今回の無料メルマガ『1日1粒!『幸せのタネ』』では著者の須田將昭さんが、その土地や宗派によってもさまざまな違いのあるお盆についての「考え方」を記しています。
風習というもの
8月も10日を過ぎると「お盆」と呼ばれる季節です。この「お盆」という期間、あるいは風習、文化…なんとなくとらえどころのないものです。
なんとなく「8月15日のちょっと前あたり」という時期的なイメージはおおよそ全国で共通していますが、その中で行われる行事は地域によってさまざまです。先祖を祀る、先祖をお迎えするのも、地域あるいは宗派によって色々です。
仏教にまつわる行事と思われている方も多いと思いますが、本来仏教は「輪廻転生」の考えですから、死んだ人が霊になって現世に戻ってくるのは少しズレています。むしろ、神道の方に近い。『古事記』には、イザナギが死んだイザナミに会いにいくために黄泉の国を尋ねる話が出てきます。死者が住まう世界があり、それが我々の日常の世界とは違うところだという感覚。こちらの方が「死者(霊)が帰ってくる」というのに合います。
風習というものは不思議なもので、本来の姿とは形が変わることはよくあることです。もともとの土着の信仰と新しい宗教的な考えが融合するというのもよくあります。むしろ、新しい宗教が入り込んでいくときに、できるだけその土地の土着の信仰を刺激しないようにうまく取り入っていく…ということもあるので、なおさらです。
お盆という行事は、そういうわけで仏教の教えに基づくのか、神道なのか、はたまた何か土着の信仰が大きく影響しているのか、色んな説があってその辺はよく分かりません。
地域、地域で「こういう風にしてご先祖様に思いを馳せるんだ」ということを表していると考えるといいのでしょう。この辺は「理屈」じゃなくて感覚的なもの、肌身で感じる直感のようなものと思います。
「先祖の霊が帰ってくるなんてことがあるか」といってもそれは議論の相手がいない主張といえます。お盆に限らず、風習というのは理屈を超えて受け継がれていく感覚的な教えなんですね。
今自分がこの世にいるのはたくさんのご先祖がいてこそなんだ…と思いをはせる。そして生きていることに感謝する。そういう時期なんだということを思って過ごしたいものですね。
胡瓜や茄子で馬を作って、「ご先祖様の乗り物にする」というのはテレビなどで見たことはありますが、実際には見たことはありません。京都では8月16日に五山の送り火があります。これはお盆に帰ってきていた先祖の霊を送る行事です。ですから「船形」もあります。精霊流しは、川で送るスタイルと言えます。
一口に「お盆」と言っても色々ありますね。みなさんの地域ではどんなお盆の過ごし方をされますか?
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