敬語というものは類似の言葉がいくつかあったり、使い方によってはかえってバランスが崩れてしまったりすることもあり、難しいと感じている方も少なくないでしょう。今回の無料メルマガ『神垣あゆみメールマガジン』では、似たような敬語の使い分けや収まりの良い敬語表現など、実生活における敬語について具体例を交えながらわかりやすく解説しています。
「いただく」と「くださる」
日ごろ使っている敬語で、どちらを使うのが正しいのだろうか?と疑問に思うのが「いただく」と「くださる」です。
- ご連絡いただきまして、ありがとうございます。
- ご連絡くださいまして、ありがとうございます。
1.は自分側をへりくだった表現で、2.は相手の行為に対して敬意を払った表現という違いがあります(平たく言えば1.が謙譲語で2.が尊敬語)。
けれど、どちらも「立てる」べき対象が相手であることに変わりはありません。
ですから、どちらを使っても相手に失礼にはなりません。
ただ、「いただく」と「くださる」の受け止め方、捉え方には個人差があるので、違和感を覚える人もいるかもしれません。
ですが、いずれの場合もほぼ同じように使える敬語と考えてよいようです(「敬語の指針」による)。
具体的な事例はこちら。
▼ 敬語の使い分け< 読者からの質問(3)>VOL.1169
敬語のバランス
日ごろのメールのやりとりで、うっかり間違って使ってしまいやすい敬語について紹介しています。
仕事で東京に来る機会などはございますでしょうか?
一見、丁寧な一文のようですが、収まりの悪さを感じます。「来る」と「ございますでしょうか」の敬語のバランスが取れていないからではないでしょうか。ちぐはぐな印象を受けます。
仕事で東京にいらっしゃる機会はございますか?
とすると、すっきりした一文になります。「いらっしゃる」を「お越しになる」「お見えになる」と書き換えてもいいですね。
敬語を使う場合は、文章の最後だけではなく、文中の他の言葉にも注意をする必要があります。
ちなみに、上記の例文を自分を主語にして、謙譲語で表現するとしたら、どのようになるでしょう。
仕事で東京に参ります。
ですね。「来る」の尊敬語は「いらっしゃる」「お越しになる」「お見えになる」謙譲語は「参る」「伺う」です。
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