デジタルタトゥー問題
この件に対して、私刑を止めるように著名人がコメントを出している。今ではデジタルメディアを通じて個人が発信することもでき、記憶に新しいあおり運転事件のガラケー女として別人物が一夜にして、犯人だと取り上げられてしまった誤報もある。
一方で、この件では、被害者がモザイクもなしで晒されており、被害者に関しても同様に厳しい立場に置かれている実情が問題になっている。少なくとも動画に関しては被害者の顔などがわからないように加工するなりする必要がある。
一部報道によれば、この動画は20万ツイートされており、動画を保存してさらに拡散しているユーザーも多いことから、実態数は数百万を超える可能性がある。
特定された犯人とされる生徒の情報もさらに多く拡散されており、この情報は消すことは難しい。
ただ、多くのいじめ事案の中で私は同様の動画を確認している。その都度、私は警察に報告している。それは、このような暴力は、いじめの定義上、いじめになり得ても、行為自体は犯罪そのものであって、教育上の指導でどうにかなるような問題ではないからだ。
また、ネットで拡散するということは、被害者の特定も進む可能性があることから、被害者がそのリスクを覚悟して望んでいても慎重に判断する必要がある。それは被害者の想定を上回り、後で後悔することが予想できるからだ。
氷山の一角に過ぎない
この暴力動画を見て、多くの人が、「胸くそ悪い」「見ていられない」と表現していた。しかし、これは氷山の一角に過ぎない。例えば、この暴力動画は、1分少々であり、その前があり、その後がある。また、動画内の会話からも、前回があることがわかる。この動画だけでも、実は一部分に過ぎないのだ。
私は前後のものを確認したが、正直ここでも書けない内容であり、一部拡散しているものを探して、削除要請を管理人にしたところだ。つまり、世に出ていないものは無数にあり、それらはより酷い内容であったのだ。
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ネットの管理者や発信をしている方へ
今回の葛飾暴力動画については、被害者の姿そのものが特定できる状態で晒されています。今後、さらに拡散することもあると思いますが、少なくとも被害者の顔はモザイクなどで加工していただくなどの対応をしてください。追加で別の動画をアップしないでください。被害者への配慮をしてください。
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私はそうした現場を数多く確認してきた。ほとんどは、調査をしていて動画の提供を受けて、それを確認するのだ。それでも、私が確認できた被害者はごく少数に過ぎないだろう。
世に出ていないだけで、まるで黙殺されたかのように同様の被害を口にできず泣き寝入りしている被害者もいるはずだ。
こうした動画が「胸くそ悪い」というのはそのままの表現だろう。
ただ、それを見ても、「加害者にもそうなった背景がある。加害者こそ被害者だ」ということを平然と主張してくる自称評論家風情にも、胸くそが悪くなる。
本件については私は担当していないので、被害者との直接の交流はないが、普段の調査では被害者本人やその家族、私に告発をした友人らなどと私は直接話を聞いている。
だからこそ、「何かあったら、人に暴力を振るっていいのか?被害者はどんなに苦しくて、辛かったのか、そういうところに心を配った上で、加害者こそ被害者だと言えるのか?」問いたいのだ。
結果、社会が悪いという話に落ち着くのだが、「社会が悪かったら、誰かに暴力を振るってもよいのか」と問いたい。
そして、教育委員会にも警察にもうまく取り合ってもらえず、メディアも取り上げないとき、被害者が唯一声を上げる場はネットなのかもしれないと思うのだ。今回の暴力動画は被害者にモザイクなどの加工を加えるべきであったのは確かだが、そうする以外、他に方法がないときは、有効な手段になることを実証したことになる。