いじめ防止対策推進法の遵守
いじめ防止対策推進法第27条では、「学校相互間での連携協力体制の整備」が定められている。これは被害生徒と加害生徒が違う学校に在籍している場合であっても必要な支援や指導が行えるように学校相互が連携し協力する体制を整備するというものだ。
本件の暴力動画のような場合は、いじめ法が定められる以前から「問題行動」についての連携や協力関係の整備は進んでいるはずなのだ。例えば、古くは暴走族対策なのでは、地域が異なる在籍者で構成されていることが多いから、警察とも連携して情報の把握などを行なっていた。
ただ、事件が起きたのは5月で動きが出たのは9月、しかも未だに何らかの処分などが行われていない実情から、連携が機能していてもそれ自体は情報の共有であって、その情報共有について以上のことは、なかなか実行されることはないということは問題だろう。
結果、被害関係者を動画投稿へと追い詰めたのは、後手後手になっている教育界の機能不全とも言えるだろう。
私はこれをいじめ犯罪であると捉えている。いじめ法で言えばいじめであるが、実質は犯罪そのものだという意味だ。仮にいじめ法で言えば、26条には出席停止の処分があるが、これは「被害を受けた生徒が安心して学校に通えるため」という主旨だ。残念ながら、この運用は加害者に対してではなくほとんどは被害者に適用されるという、とんでもない現実があるのだが、教育委員会などはこうした処分を加害者にすることができるのである。
他のいじめでも同じだが、加害者に対して適切な処分をせず、被害者が恐怖で学校に通えない状況となるのは、一重に学校や教育委員会がいじめ防止対策推進法を遵守していない大きな過ちなのである。
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