詫びる気ゼロ。NHKと猿芝居した日本郵政を牛耳る権力者の実名

arata20191010
 

先日掲載の「『NHKまるで暴力団』かんぽ報道で日本郵政副社長が反論も大炎上」でもお伝えした通り、かんぽ保険の不正問題を報じたNHK「クローズアップ現代+」の番組内容を不服として、同局を痛烈に批判した鈴木康雄日本郵政副社長。最終的にNHK経営委員会から「厳重注意」とされた上田良一NHK会長が謝罪文を日本郵政に届ける事態に至ったわけですが、この判断は公共放送機関として正しいものだったのでしょうか。元全国紙社会部記者の新 恭さんが、自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』で検証・考察しています。

NHK経営委と猿芝居を演じた日本郵政権力者の正体

久しぶりで目にしたこの名前、鈴木康雄氏総務省の事務次官だったのは10年も前のことだ。民営化で、ひと頃くさっていた旧郵政省組の代表格だったが、気がつけば日本郵政に天下りし、肩書き的にはナンバー2の上席副社長におさまっている。

10月3、4日の両日、国会内で開かれた野党合同ヒアリングに、鈴木氏の姿があった。かんぽ生命不正販売問題を真っ先に報じたNHKへの日本郵政の威圧的な干渉について、中心人物と目される鈴木氏に考えを聞くのがヒアリングの主目的だ。

声を荒げないという条件をつけたとはいえ、疑い深い野党議員から質問を浴びせられる場への出席は、“大物症候群”の罹患者ほど躊躇する。鈴木氏も事務次官時代だったら、余計なことを言わぬよう厳しく口止めしたうえで部下の参事官クラスに役目を押しつけるところだろう。しかし、いまや国会議員に地元への配慮で恩を売る立場でないばかりか、かんぽ不正販売で頭を下げなければならない身の上である。

さえない表情で姿を現した3日の会議では、鈴木氏の隣にNHKの木田幸紀・専務理事放送総局長と、NHK経営委員会の森下俊三・委員長職務代行者の顔が並んだ。

かんぽ生命販売の実態をいちはやくとりあげたNHKの番組は昨年4月24日放送の「クローズアップ現代+」だ。その内容に憤った郵政側がNHK経営委員会に文書で抗議し委員会からNHK会長に厳重注意」の御託宣を下させた。公共機関が公共放送に激しくクレームをつけるという稀有なケースである。

「クロ現」が暴いた不正販売が概ね誤報でも誇張でもないことは、郵政3社の社長が今夏、打ち揃って謝罪会見にのぞんだことでも明らかである。

普通の経営者なら平身低頭でヒアリング会場に現れてもおかしくないのだが、鈴木氏には微塵もそうした態度は感じられない。

結論めいたことを先に言うと、日本郵政を牛耳っている最高権力者は、謝罪会見などでオモテに出た社長の長門正貢氏ではなく、背後で長門氏を操る鈴木氏に違いない。

日本郵政に鈴木氏が君臨しているからこそ、NHKに高圧的な姿勢を示しえたのではないか。それは10月3、4日の計2時間ほどのヒアリングを通じてはっきり見えてきた。

時間を2009年に巻き戻す。総務省は旧郵政省・自治省・総務庁の三つのグループが勢力争いを繰り広げていた。小泉郵政改革のもと、どちらかといえば省内では旧自治省出身者が幅を利かせていたが、審議官だった鈴木康雄氏は同年7月、旧郵政省出身者として久方ぶりの事務次官に就任した。

当時、日本郵政の社長は三井住友銀行出身の西川善文氏だった。かんぽの宿売却問題で鳩山邦夫総務大臣に追い詰められた西川氏の後任社長に郵政出身の團宏明副社長をあてるべく、鳩山大臣の動きを鈴木事務次官が後押ししたが、この問題で鳩山氏が辞任するにおよび、郵政社長を自分たちの天下り指定席とする野望はもろくも砕け散った

その後、政権交代の影響もあってか、鈴木氏は在任わずか半年の2010年に退官する憂き目にあい、総務省顧問を経て損害保険ジャパン顧問となったが、それでもしたたかに日本郵政への就職ルートを保ち続けた。そのかいあって、13年に日本郵便取締役15年に今の日本郵政上級副社長のポストにたどり着いた。

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