重いテーマが世界の時流。今年のNo.1台湾ドラマは『悪との距離』

 

日本での上映は間もなく終了する映画ですが、中東の貧困と子供をテーマにした映画『存在のない子供たち』も、じつに重いテーマを描いた作品です。

『存在のない子供たち』

この映画に出てくる子供たちが心に抱くのは、「毎日殴られるだけで、なんで生まれてきたんだろう」という思い。『虐待の証明』にも「生まれてきてごめんなさい」というセリフが出てきます。

殺人、犯罪、貧困、虐待、紛争など、マイナスのものがドラマや映画を通して人々の心に響いています。これは、社会が病んでいる証拠ではないでしょうか。明るい未来を描けずに、悲しいことばかりを身近に感じて共感してしまう。そんな殺伐とした社会はあまりに悲しいと思います。世界は、子供たちが明るい未来を描ける社会、大人たちが人生の楽しさを享受できる社会、そんな社会へ向かって進んでいってほしいと思います。

伝統的な社会規範が失われ、新しいモラルを確立できないのも、社会が閉鎖的になっている一因かもしれません。平和、広義、公平、平等と叫びながら、現実にはそれは「きれいごと」であり、実在はしません。1960年代後半、「ベ平連」が主張する「平和」について、「建前と本音」があまりに乖離していることを知ってから、私は「進歩的文化人」の言うことは信用できなくなりました。

最後に、いま私が気になっているドラマをご紹介したいと思います。現在放送中の台湾ドラマ『用九柑仔店』です。

マンガが原作で、出演は期待の若手俳優・張軒睿、ベテランの人気俳優・邱澤など。物語の舞台は、台湾南部の小さな雑貨店。雑貨店の店主が病で倒れたのをきっかけに、台北に就職した孫が店を継ぐために戻ってくるという話です。

物語は、雑貨店を通して様々な人間模様が描かれ、様々な事件が起こります。田舎ならではの閉鎖的な面も描かれていますが、田舎の良さも十分に感じることができます。特に、人と人との距離が都会とは全く違うという部分が私は好きです。セリフの半分以上が台湾語というのも、アイドルが出るドラマにしては珍しいのではないでしょうか。

用九柑仔店(wikipedia)

芸術の秋、週末のひとときは話題のドラマや映画を楽しんでみてはいかがですか。

image by: 『悪との距離』公式ホームページ

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