企業や店舗に対するクレームといった「マイナスの声」が、SNSを通してまさにあっという間に響き渡り大炎上を巻き起こすといったケースが跡を絶ちません。その反響の大きさに恐れをなし、自分たちのこれまでのやり方を変えてしまう経営者も少なくありませんが、果たしてそれは正解なのでしょうか。今回の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』では接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、「重視すべきはプラスの声だ」とした上で、マイナスの声への対処法を記しています。
マイナスの声はでかい
筆者の坂本がこの歳まで生きてきて(たったの33年間ですが)、1つ明らかになっていると思っていることがあります。「マイナスの声ほど、声がでかい」ということです。
誰かを非難するような声、何かに対して文句をつけるような声、サービスに対して否定するような声。クレームにしても怒りにしても、そういったマイナスな声ほど、声は大きくなり、人の耳に入りやすくなるということです。
決して、声のボリュームの話ではなくて、目にする機会が増えるとかそういった部分の話をしています。例えば、SNSやニュースなんかは、本当に顕著です。
昨今のネットニュースなどを見てもそうです。ニュースというのは、人目を引いて、まず読んでもらうことが大事なので、なかなかのタイトルがついています。今パッと開いてみたニュースサイトにも、
「〇〇の正義を疑え!」
「□□が大激怒!」
「△△社が大炎上のワケとは!?」
みたいなタイトルが踊っています。週刊誌にしても、ゴシップ新聞にしても、こういったタイトルで、人目を引いて、部数を伸ばそうというワケです。同じようなことが、接客販売業界でも、たくさんあります。
「接客されるのが嫌だ」
「販売員がうっとうしい」
「名前を覚えられると、もう行きたくない」
といった、販売員からすると、マイナスな声がネット上や、その他の多くの場面で、よくみられるようになりました。
もちろん、そういったお客様がいらっしゃるというのは事実だと思います。しかし、これらはマイナスの声なので、とても大きく見えがちなのですが、逆のプラスな声があるということも決して忘れてはいけません。
毎日接客をしている人なら、きっとわかってもらえるはずだと信じていますが、お客様からプラスの声をいただくことはたくさんあります。
「あなたに接客してもらえてよかった」
「良いモノが見つかったよ。ありがとう」
「気持ちよく良い時間が過ごせました」
こういう声をいただくことは、いくらでも出てくるわけです。しかしこういった声は、マイナスの声ほど、人目を引かないので、あまり大きくはありません。でも、そう感じてくれているお客様はたくさんいるというのを忘れてしまうと、ただただ物事を否定的にしか、見られなくなってしまいます。大事にすべきなのは、こちらの声のはずなのにです。
だから、接客に携わるすべての人たちは、マイナスの声に踊らされることがないように注意をしておく必要があります。
例えば、クレームが起きた時、大声で怒鳴られたからといって、その内容が、必ずしも正解とは限りません。むしろ、そのサービスを喜んでくれているお客様だっているかもしれませんよね。
1人のマイナスの声が大きいというだけで、99人は、そのサービスを気に入っていたら、マイナスの声を聞いてしまって、サービスを変えてしまうのは、おかしな話だと思います。だったら、大事にするべきはプラスの方です(もちろん、クレームを受け入れなくて良いという話ではなくて、内容は考慮しなくてはいけませんよ)。
ニュースやSNSで目にすることも、同じことだと思います。誰かが、「これが嫌だった」と呟いていたからといって、それが、必ずしも本当に良くないことかどうかは、わかりません。マイナスの声は出しやすく、大きいものなので、たまたまそれが目に入っただけなのかもしれないのです。
でも、プラスの声を持っているお客様がいるなら、自分たちが、そのサービスややり方を、プライドを持って信じてやれているのなら、大事にすべきはやはりそちらではないでしょうか。
ただ単に、マイナスの声を目にした耳にしたからというだけで、やり方をブラすのではなく、本当にそうなのかを考える力を持っておきましょうという話です。
大きい声だけを受け入れていると、必ずどこかで破綻してしまいます。信じてやり続けるということも、時には大切だと思っています。
今日の質問です。
- 最近耳にした、目にした、接客や販売に対するマイナスな声にはどんなものがありましたか?
- その声は、自分たちのお客様が本当に思っていることでしょうか?逆にプラスの声があるとしたら、どんな声ですか?
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