総理の辞任不可避か。明るみに出た「桜を見る会」の不都合な真実

 

田村議員はまだ切り札を隠し持っていた。この日の予算委員会には今国会で野党から最大のターゲットにされている「身の丈」発言の萩生田光一文部科学大臣も出席していた。萩生田大臣は、かつて永田町見聞録なるブログにこんな投稿をしている。

「総理主催の桜を見る会が催され、今年は平素ご面倒をかけている常任幹事会の皆様をご夫婦でお招きしました。しかしご夫婦で参加されたのはほんの数組であとは単身、本当に奥様達に伝わっているのでしょうか?(笑)」(2014年04月18日)

総裁特別補佐だった時期の記事。「お招きしました」などと、まさに主催者である安倍首相の気分になりきっている。

それにしても、何の常任幹事会なのか。田村議員はこれも後援会だろうと目星をつけたうえで、「常任幹事会はどういう人たちで、どこの府省が推薦してくれたんですか」と質問した。それに対する答弁。

萩生田文科相 「桜を見る会は各界において功績、功労のある方を各省庁からの意見を踏まえ幅広く招待している。最終的にはとりまとめは内閣官房および内閣府において行われている。実際に参加された方は、手続きにのっとり招待された方であると承知している」

萩生田氏は内閣府大臣官房が用意したペーパーをそのまま読み上げた。むろん、田村議員は納得できない。あきれたように苦笑いし、予算委の理事が議長席に集まって一時中断、という毎度の風景。

萩生田文科相は「自分の知り合いをのべつまくなく呼べる仕組みにはなっていない。常任幹事の方に長がいらっしゃって、その方たちが…」とかなんとか、ごまかそうとする。

そこで田村議員が「何の団体の常任幹事か」とあらためて追及すると、ようやくあきらめたのか、「後援会の中の常任幹事の方だと思います」。

安倍首相のいちばんの子分も、後援会の世話人たちを春の宴に送り込んでいた。「招待枠を自民党内で割り振っているのではないか」という田村議員の指摘はおそらく間違っていないだろう。

だが、田村議員の真のターゲットは、萩生田氏でもなかった。満を持して切り出したのは、これだ。

「後援会のみなさんを最も大勢招待しているのは安倍首相です」

安倍首相の地元、山口県の下関から「安倍事務所がとりまとめ役となって毎年数百人が(桜を見る会出席のため)上京する」と、安倍首相の後援会会員が証言したというのだ。

安倍首相自身の後援会だけではない。下関市選出の友田有・山口県議会議員がブログで「今回は私の後援会女性部の7名の会員の方と貸し切りバスで同行しました」と発信していることからして、安倍首相を支持する地元議員の後援会メンバーまでもが招待されているのだ。

田村議員 「案内状発送は内閣府が一括して行い、必ず招待者一人ひとりにあてて送付する。安倍事務所がとりまとめをしなければ、下関市の後援会員の名前や住所がどうしてわかるのか」

安倍首相は答えない。代わりに、大塚・内閣府大臣官房長が答弁する。

「推薦者のとりまとめにかかる情報は、円滑な取りまとめに支障をきたす恐れがあるので、答えは差し控える」

 

田村議員 「総理、安倍事務所に確認してください」

ここで、しぶしぶ、安倍首相が立ち上がった。「個人に関する情報であるため、回答を差し控える」。この政府、都合が悪いと差し控える

いずれにせよ、安倍首相も、後援会の会員を多数招待するのはマズイかもと、少なからず後ろめたい気分が湧いてきたようだ。

田村議員は「税金を使った公的行事だ。どのような功労・功績があるのか説明できないとおかしい」と迫った。

今年、安倍首相の後援会関係者850人が「桜を見る会」参加のために上京し、安倍晋三後援会の「桜を見る会前夜祭」で気勢を上げた後、当日早朝、宿泊先のホテルから貸し切りバス17台を連ねて新宿御苑につめかけたという。

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