総理の辞任不可避か。明るみに出た「桜を見る会」の不都合な真実

arata20191114
 

総理大臣主催の「桜を見る会」に関して野党の激しい追求を受けるや、突然2020年の会の開催中止を発表した政府。早期の幕引きを図りたいという意図は明白ですが、事は官邸の思惑通りに進むのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、改めてこの「疑惑」について整理し不可解な点を洗い出すとともに、「桜を見る会」が選挙対策の一つと見られても仕方がないという見方を示しています。

総理、「桜を見る会」招待は後援会へのご褒美ですか

「内閣総理大臣 安倍晋三」の名でその“晴れの催し”の招待状は送られてくる。

季節外れの話のようではばかられるが、毎春恒例の総理主催「桜を見る会」が、今国会のホットな問題になっている。ある理由によって。

吉田茂氏が総理大臣の頃から続く「桜を見る会」。その一般的なイメージは、各界の著名人や功労者が会場の新宿御苑に集い、桜を愛でながら歓談する風景に違いない。もちろん、税金が使われる催しであるから、ときの首相が、招いた人々の日ごろの活躍や努力をたたえ、慰労するという意味合いがあるだろう。

しかし、その実態たるや、型通りの美しい言葉だけで尽くせるものではないようだ。「桜を見る会」のニュースに映し出されるテレビでなじみの顔に隠れて目立たないながらも、政治権力の蜜のひとしずくの甘さをいちばん知っているのは、安倍首相や有力議員らの後援会の人々らしいのである。

11月8日の参議院予算委員会で、「桜を見る会」をめぐり、共産党の田村智子議員が安倍首相らに投げかけた問題提起は、「さもありなん」と思わせる内容だった。

安倍晋三氏が総理になって「桜を見る会」の参加者は年々増え、安倍以前は参加者が概ね1万人程度だったのに2014年になると1万3,700人、今年はなんと1万8,000人に。

当然、かかる費用もどんどん増加し14年の3,000万円から19年は5,520万円にふくらんだ。もちろん、この費用は税金で賄われている。

なぜ参加者が増えたかの内訳をみると、皇族、各国大使、地方議会、行政関係者の数は約2,000人ほどでほぼ一定しているが、「その他各界の代表者等」が大幅に増加している。

各界の代表者まではいい。どうやら「が曲者らしい。「等」は誰を指すのか、と田村議員が安倍首相に問う。大塚幸寛・内閣府大臣官房長が手を挙げた。

「等、でございますが、幅広く招待できるよう“等”をつけているものでして、特定の分野、カテゴリーを想定しているものではございません。各省庁からご推薦をいただき、最終的には内閣府でとりまとめております」。

質問に答えていない。安倍首相も口を閉ざしたままだ。

そこで、田村議員はとっておきのネタを次々と繰り出した。自民党議員たちのブログなどの記事らしい。稲田朋美世耕弘成松本純といった大物自民党議員の名前が続々と登場する。

「稲田朋美・日々の活動報告には、桜を見る会に地元福井の後援会の皆様も多数お越しくださり、たいへん思い出深い会になりました、とあります」

「世耕弘成後援会ニュースには、桜を見る会にて、地元女性支援グループの皆さんとと、写真が載っています」

「松本純衆院議員・国会奮闘記には、選挙のうぐいす嬢の皆様をはじめ後援会の皆様と参加いたしましたと書かれています」

どうやら「後援会の人々のことのようである。こうした議員の後援会に入っていれば、総理大臣名で招待状が届くのである。ありがたいことではないか。きっと、家宝として、名誉の証として、大切に招待状と封筒は保管されているに違いない。

そして新宿御苑のみごとな桜並木の下、あちらこちらと移動して回ってくる安倍総理と運よくカメラにおさまることができれば最高だが、それが叶わぬとも、自分はこういう場に招かれる人間だという錯覚に陥らせてくれる。あらためて、自民党大物議員の後援会員であることに喜びを感じるのだ。

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