しかも、安倍首相は桜を見る会の開門より30分も前に、地元後援会の人々を会場内に招き入れて記念撮影をしていたといわれる。なぜそんな特別扱いができるのか。
これについて安倍首相は「セキュリティーにかかわることなので回答を差し控える」と、事実上の答弁拒否をした。セキュリティーとどうかかわるのか、教えてほしいものだ。
本物の桜もさることながら、有名人の「サクラ」も、このイベントに彩りを添え、参加者の気持ちを高ぶらせる要素だろうが、税金を5,000万円以上もつぎ込んで、国会議員の選挙応援団を招待し、1万8,000人もの規模に膨張させる安倍首相は何を考えているのだろうか。「桜を見る会」が選挙対策の一つと見られても仕方がない。
蛇足ながら、この件について各メディア、とりわけテレビ各局はほとんど取り上げていなかったが、11日に野党統一会派が共産党とともに追及チームを立ち上げると、いっせいに派手な報道を始めた。そのおかげで、「桜を見る会」を日程に組み込んだ観光ツアーの案内状が「あべ晋三事務所」から地元有権者あてに送られていたことなど、新事実も判明した。
それにしても、メディアの反応がいささか鈍かったのが気になる。「赤旗」の後追いになろうとも、どの党の議員の質疑であろうとも、問題提起にニュースバリューがあると思えば、積極的に報じるべきだった。
大手メディアの幹部は毎年、招待状を受け取り、若手記者が取材に駆けつけていたはずだ。あたかも春の風物詩のごとく、タレントらと写真におさまる首相の誇らしげな姿を垂れ流すだけで、何の疑問も抱かなかったのだろうか。実態を知っていて、その中に同化するばかりだったとしたら、メディアの罪は重い。
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