暑さ指数よりカネ優先。東京オリンピックスポンサ一の冷酷な本音

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マラソンコースが突如札幌に変更されるなど、ゴタゴタ感満載の東京オリンピック。さらに各競技場の「暑さ指数」が、運動原則中止レベルになることも予想されていますが、果たしてアスリートや来場者に支障なく開催できるのでしょうか。数々のメディアで活躍する嶌信彦さんは今回、自身の無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』で、改めて以前から指摘している「東京オリンピックの開催時期決定の真相」を記しています。

真夏五輪「暑さ指数」最悪に

マラソンはオリンピックの花だ。オリンピックの最終日、42.195kmを走り抜いたマラソン選手がゴールの新国立競技場に姿を見せると、観衆は総立ちになって拍手で選手を迎える。特に日本人はマラソンに強く、思い入れが深い。過去にいくつも名勝負があり、忘れ難い選手達も多いからだ。

そのオリンピックを巡って、今回は最後までゴタゴタが続いている。11月に入って20年の東京オリンピックのコースが突然東京から札幌に変わった。東京のコースは新国立競技場をスタートし皇居、東京タワー、銀座、歌舞伎座前、浅草などの名所をまわって再び新国立競技場に戻るという情緒のある道のりだった。それが真夏のオリンピック(20年7月24日~8月9日までの17日間)となると、暑すぎて熱中症などで倒れる選手が出たり、沿道の観客も見物には酷だという声が強まったからだ。

その結果、IOC(国際オリンピック委員会)と東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(会長・森喜朗元首相)とJOC(日本オリンピック委員会)が「東京はダメ、東京より温度が低い札幌の方が適当と方針を変えたのである。

むろん主催地である東京(小池百合子都知事)は猛反対した。オリンピックの目玉であるマラソンを別の都市で開くとなるとマラソンのコースの沿道になるはずだった東京の街や商店街は、いきなり目玉イベントを持ち去られることになるためだ。その結果、IOC、組織委員会、JOC、東京都で調整委員会を開くことになったものの、「調整委員会が決定できない場合はIOCが最終判断を下す」という原則があった。

東京都は暑さ対策として午前5時スタート、日陰の多いコースを選ぶ。走行中にミスト(霧)を多用する。道路の熱を下げる遮熱舗装を行なう──など300億円以上の費用をかけた提案をしたが、IOCの通告に近い形で一蹴されてしまった。結局、小池知事は「あまりにも唐突で、不誠実。あえて申し上げるなら、これは合意なき決定だ」と開催都市を見下しているようだと不満をもらした。特にIOCが最終判断してからすぐに東京都に伝えず、3~4日の間があり、発表前日になって東京都に伝達したことに憤りを感じたようだ。

地球の温暖化の進行で日本の夏はどんどん猛暑化している。例えば今年の7月23日の熊谷市の気温は41.1度で23日までに亡くなった人は少なくとも30都道府県で94人、救急搬送者は16日~22日の1週間で2万2647人に上っていた。そもそも夏のオリンピックは無理だったのだ。

また、環境省は五輪期間中の新国立競技場の熱中症は2019年の場合、「熱中症最悪25日超」と公表。同期間中の熱中症を示す国際指標の暑さ指数で最も高い危険性がある暑さ指数31に達した日が新国立競技場など4ヵ所で25日以上あったという。また日本体育協会では「指数25-28」を「警戒」、「28-31」を「厳重警戒」、「31以上」は「運動の原則中止」と定めているのだ。なぜそんなことをわかりながら真夏の五輪を選んだのか、五輪関係者の見識が疑われても仕方があるまい。

結局は、最も気候の良い秋はアメリカや欧州のテレビ局が自国開催のスポーツ「大リーグ、サッカーなど」のため放送枠を買い占めており、オリンピックが入る余地はなかったらしい。要するにカネに負けたのだ。

ちなみに私は東京オリンピックが決定した2014年秋から「なぜ真夏の五輪か」と題して何度も雑誌、新聞などにコラムを書き続け、疑問を呈してきた。以下はそのコラムのタイトルである。

  • なぜ真夏の五輪か? (2014年10月)
  • ~真夏の東京五輪を変えよう~ (2014年11月)
  • 東京五輪後の日本の進路 どんな国をめざすのか (2015年02月)
  • 寒々しい五輪風景 (2015年08月)
  • アスリート・ファーストのいかがわしさ (2015年09月)
  • 地に落ちた東京五輪評判 (2015年10月)
  • 真夏の東京五輪、見直すべき (2018年02月)
  • 五輪の日程変更を! (2018年08月)
  • 本当に「真夏のオリンピック」でいいのか ─リタイア選手続出とならなければいいが…― (2019年04月)

以上の論評は以下のブログ及びブログ内のリンクより読めます。

時代を読む

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【著者】 嶌信彦 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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