4つのアクションとは何か
4つのアクションは、戦略を策定するためのとっておきのツールです。あるいはイノベーションを推進するための極めて有効な手法だとも言えます。なぜそうなのか、以下に説明しましょう。
4つのアクションでは、既存の製品やサービスを対象に、下記に示す4つの活動を実行します。だから4つのアクションというわけです。
- Eliminate・・・取り除く
- Reduce・・・減らす
- Raise・・・増やす
- Create・・・付け加える
まず、「Eliminate:取り除く」「Reduce:減らす」に注目してください。
既存の製品やサービスには、提供する側が重要だと思っている要素があります。しかし得てしてそれが買い手にとっては不要である場合があります。そうした点に着眼し、不必要な要素をバッサリと切り捨てる、または大幅に減らすのが、この2つのアクションです。
次に「Raise:増やす」と「Create:付け加える」です。
こちらでは、既存の市場で重視されていなかった要素や、全く視野に入っていなかった要素に着目します。そして、そうした要素を大幅に増やしたり、新たに付け加えたりします。
この4つのアクションに成功すると、イノベーションにダイレクトに結び付きます。どういうことか説明しましょう。
4つのアクションがイノベーションと結び付く理由
まず、既存の製品やサービスから、従来重要だと考えられていた要素をバッサリと斬り捨てたとします。
例えば、ノート型パソコンからキーボードや大容量のハードディスクを取り去ったと想像してみてください。これだともはやノート型パソコンとして機能しません。つまり、「取り除く」「減らす」によって、「無価値なもの」が生み出されたわけです。
次に、この無価値なものに、従来はあまり重視されていなかった要素や無視されていた要素を付け加えます。
例えば、無価値にしたノート型パソコンに、タッチパネルやスクリーン・キーボードを付け加えます。さらにハードディスクは小容量とし、加えてクラウド上にオンライン・ストレージを設けます。そうすると、何とタブレット端末が出来上がりました。
いかかでしょう。このように、一旦無価値にしたノート型パソコンに、「増やす」「付け加える」という行為を実行することで、新たな価値を作り出せました。つまり「無価値なもの」を「価値あるもの」に意図的に変えられたわけです。
「無価値なものを価値あるものに変えること」、これがイノベーションの定義です。4つのアクションを実行すると、意図的に無価値なものを作り出し、それを再び価値あるものに作り替えられます。
つまり4つのアクションは、意図的にイノベーションを生み出すための強力なツールになるわけです。いまや戦略策定には欠かせない手法の一つ、それが4つのアクションだと言ってもいいと思います。
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