「おやすみ」の前に親がわが子にかけるべき「3つの言葉」について

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感謝の言葉「ありがとう」。素直に口に出せていますか?目上の人こそ目下に、保護者・監督者こそ被保護者・被監督者に「ありがとう」の言葉をかけるべきと語るのは、メルマガ『8人ばなし』著者の山崎勝義さんです。山崎さんは、もっとも当てはまるのが親子関係であり、親こそ子に毎日「ありがとう」、続けて「えらい!」「だいじょうぶ!」と声をかけるべきと論じます。そして、叱ったあとにでも、これらの言葉は言えると具体例も教えてくれました。

『おやすみ』前のこと

「ありがとう!」
「えらい!」
「だいじょうぶ!」

「おやすみ」の前に大切な人に言っておきたい言葉だ。ただの一言ですら照れくさいものを二言、三言と続けるのはなかなかに厳しい気もするが、逆に一言でも言ってしまえば二言目、三言目はそれほどでもないのではないか。

これらは保護者・監督者から被保護者・被監督者に向けての言葉である。分かり易い例は親子関係である。親は子の保護者であり監督者である。そして子は親の保護・監督を受ける立場である。つまり上記三つの言葉は一日の最後に親が子にかけるべき言葉という訳である。

本来「ありがとう」も「えらい」も「だいじょうぶ」も言語コミュニケーションにおいてさほど意味深という訳ではない。寧ろ飾り気のない言葉の部類に入る。それなのにあまり使われてはいない。「ありがとう」に関してはよく聞いているような気もするが、そのほとんどは「ありがとうございます」という形に待遇変換され、下から上へと向かう敬意と謝意を同時に表すものとなっている。敬意(待遇)の分だけ純粋な「ありがとう」とはやはり違う。

ここで改めて三つの言葉の使用環境について考えてみる。「ありがとう」は言うまでもなく感謝の気持ちを表す。ただ感謝すべき状況は上下の関係に関わらず生ずるものである。そこで前述の「ありがとうございます」のような下から上的表現ともなる訳であるが、それなら同時に上から下的表現としての「ありがとう」がほぼ同じ頻度で現れてもいい筈である。然るに実際は上から下への感謝は「すまん」や「わるい」などに置換され、その分だけ「ありがとう」の頻度は削られてしまっている。

おそらくは「ありがとう」という言葉の素直さと、社会的上下関係というシステムの厳めしさが何とも不釣り合いに思えてどうにも言いづらいのではないだろうか。とすれば逆に、システムというものとは絶縁されている家庭内においては上から下に向かっていくらでも言える筈の言葉なのである。

言うまでもなく「えらい」は人格を称賛する言葉である。人物評価である以上、上から下にしか向かわない。そして「だいじょうぶ」は安心を附与する言葉である。これは上からしか与えられない。

このように「ありがとう」も「えらい」も「だいじょうぶ」も上から下に向けられてこそ、最初の言い方に従うなら保護者から被保護者に、あるいは監督者から被監督者に向けられてこそ、格別の意義を持ち得る言葉なのである。故に、親は子に対してもっと「ありがとう」「えらい」「だいじょうぶ」と言うべきなのである。

考えてみれば、子供にしても1日を何とかやり過ごすのはそれなりの苦役であるに違いない。よくよく見れば「ありがとう!」と感謝すべきところも、「えらい!」と褒めてあげるべきところも、「だいじょうぶ!」と不安を取り除いてあげるべきところも、きっとあるに違いない。

たとえ散々に叱りつけた後でも
「話をちゃんと聞いてくれて『ありがとう!』」
「そうやってしっかり反省できるお前は『えらい!』」
「だからね、きっとお前は『大丈夫!』」
くらいには言える

大人になって自分がそんなふうに言われることがなくなっても(あるいは今まで一度も言われたことがなかったとしても)、子供たちに対して自分が言うのをためらうことはない

だから「おやすみ」の前には言うべきである。その愛を伝えるために言うべきである。
「ありがとう!」
「えらい!」
「だいじょうぶ!」
と。

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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