令和元年最後の闇。かんぽ不正事件はどこまで腐っているのか?

 

不正のシンクロニシティー

【毎日】は1面トップに定番コラム「余録」、3面の解説記事「クローズアップ」、5面に社説、7面に関連記事。見出しから。

(1面)

  • かんぽ不正疑い1万2836件
  • 契約高齢者が7割 特別調査委

(3面)

  • かんぽ統治不全 幕引きほど遠く
  • 訴え続々 調査後手

(5面・社説)

  • かんぽ第三者委報告書
  • 不正生んだ構造にメスを

(7面)

  • 郵政社長「現場に問題」
  • かんぽ不正会見 当事者意識薄く

uttiiの眼

【毎日】からは定番コラム「余録」を取り上げる。

シンクロニシティーという言葉が手掛かりになっている。乃木坂46のヒット曲に「シンクロニシティー」があり、この言葉が知られるようになるきっかけになったという。しかしこれはユングが用いた心理学の専門用語であり、翻訳すれば「共時性」となる。「因果関係がないのに、意味の繋がった出来事が同時に起きる」ことを意味し、ここから、ユングは「集合的無意識」の存在を想定することになったのだそうだ。

余録子はこれを「おびただしい不正の同時発生」と読み替え、そして直ちに否定する。いわく、「不正の同時発生は、超常現象でなければ過大ノルマと底の抜けた企業統治の招いたものだろう」と。そして、未だに経営責任を自覚せず、自らの進退についても明言しない経営トップ…。

そして最後の最後、余録子はもう一度、シンクロニシティーを復活させている。「顧客を食い物にする“集合的無意識”をつちかったのは、官民それぞれの悪い半分を組み合わせたような半官半民の企業風土だろう。抜本的な企業改革なしには脱却できない不正のシンクロニシティーである」と。お見事!

事件は現場で起こった

【東京】は1面トップに2面の解説記事「核心」、5面社説。見出しから。

(1面)

  • かんぽ 不正黙認体質
  • 郵政社長 辞任明言せず

(2面)

  • 営業現場パワハラ横行
  • かんぽ不正 経営陣責任重く
  • 社内で土下座 顧客苦情生かさず

(5面・社説)

  • 日本郵政不正
  • 統治の大改革が必要だ

uttiiの眼

2面解説記事。とりわけ重要視されているのが「パワハラ」だ。記事中に書き込まれている実例は2つ。1つは、成績が低い社員に対して、部長が「何をやっていたのか。土日休んで平気だったのか」

と部下を詰問したケース。これについては取材の結果なのかどうか、不明だ。少なくとも今回の報告書に該当する記載はない。2つ目は会見で長門日本郵政社長が語ったもので、「社内で土下座させるなどパワハラ的なものがたくさんあった」と認めているという。

記事は郵政3社長の会見の様子を伝えている。長門氏は「事件は現場で、郵便局で起こった」と、どこかで聞いたようなコメントに続け、「(かんぽ生命の)社長も知らなかった」と、重ねて責任回避に繋がる発言をしたため、記者からは責任に関する質問が相次いだという。そして質問が続く中、長門氏は「2時間会見をやった」と述べて会見を一方的に打ち切り、記者の怒号が飛び交う中、会見場を後にしたという。

image by:Ned Snowman / Shutterstock.com

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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