宮城の水道3事業、運営権売却へ。危惧される水質悪化と料金高騰

2019.12.24
by MAG2NEWS編集部 NK
shutterstock_722410696
 

宮城県は17日、宮城県の水道事業運営権を民間企業に売却する「コンセッション方式」を導入する条例改正案を賛成多数で可決したと産経新聞日経新聞などが報じた。上水道、下水道、工業用水の3事業を一括で売却するのは、全国初。2022年4月から導入する予定だという。


「コンセッション方式」とは

利用料金の徴収を行なう公共施設について、運営権のみを民間事業者に設定する方式のこと。施設の所有権は公共主体が有する。「コンセッション方式」を導入することで、安定的で自由度の高い運営が可能になり、結果的にニーズを反映した質の高いサービスが提供可能になる。

厳しさを増す自治体の水道運営

今回運営権を売却する上水道、下水道、工業用水の3事業は、現在は県が運営している。上水道は仙台市など県内25市町村に水道用水を卸売りし、下水道は26市町村を対象に市町村から流れてきた下水を処理。工業用水は68社に供給しているが、水道設備の老朽化や人口現状などで、自治体の水道運営は厳しさを増していた。村井嘉浩知事は11月の県議会定例会の本会議で、人口減少が急速に進むことが予想されることについて触れ、「民間のノウハウを生かすことにより、将来の県民負担の軽減につながる」と説明した。

水道料金の引き上げ幅を抑える狙い

県によると、この方式で20年間運営した場合、総事業費は3314億円になるが、コンセッション方式を導入すると247億円を削減できるという。20年後に2割増えると予想される水道料金の引き上げ幅を、1割程度に抑える狙いだ。

print
いま読まれてます

  • 宮城の水道3事業、運営権売却へ。危惧される水質悪化と料金高騰
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け