宮城県は17日、宮城県の水道事業運営権を民間企業に売却する「コンセッション方式」を導入する条例改正案を賛成多数で可決したと産経新聞、日経新聞などが報じた。上水道、下水道、工業用水の3事業を一括で売却するのは、全国初。2022年4月から導入する予定だという。
「水道料金の上昇を抑えるため」。上水道・下水道・工業用水の3事業の運営権を全国で初めて民間企業に一括売却する宮城県。水質悪化などを懸念し「拙速だ」「説明不足」といった反対の声も上がっています。https://t.co/igHwpibzZQ
— 日本経済新聞 電子版 (@nikkei) December 24, 2019
「コンセッション方式」とは
利用料金の徴収を行なう公共施設について、運営権のみを民間事業者に設定する方式のこと。施設の所有権は公共主体が有する。「コンセッション方式」を導入することで、安定的で自由度の高い運営が可能になり、結果的にニーズを反映した質の高いサービスが提供可能になる。
厳しさを増す自治体の水道運営
今回運営権を売却する上水道、下水道、工業用水の3事業は、現在は県が運営している。上水道は仙台市など県内25市町村に水道用水を卸売りし、下水道は26市町村を対象に市町村から流れてきた下水を処理。工業用水は68社に供給しているが、水道設備の老朽化や人口現状などで、自治体の水道運営は厳しさを増していた。村井嘉浩知事は11月の県議会定例会の本会議で、人口減少が急速に進むことが予想されることについて触れ、「民間のノウハウを生かすことにより、将来の県民負担の軽減につながる」と説明した。
水道料金の引き上げ幅を抑える狙い
県によると、この方式で20年間運営した場合、総事業費は3314億円になるが、コンセッション方式を導入すると247億円を削減できるという。20年後に2割増えると予想される水道料金の引き上げ幅を、1割程度に抑える狙いだ。