宮城の水道3事業、運営権売却へ。危惧される水質悪化と料金高騰

2019.12.24
by MAG2NEWS編集部 NK
 

水道料金高騰と、水質の悪化

読売新聞は、1980年代から水道事業に「コンセッション方式」を導入しているフランスを例に、水道民営化により考えられるリスクを発表している。フランスは、上水道の30%、下水道の24%を民間事業者が経営しているが、民間企業参入後は水道料金が高騰し、水質が悪化したという。また、資金の90%近くを公的機関が拠出しているため、当時目指していた自治体の財政負担は減っていなかった。

不透明な価格設定

フランスでは、民間業者を監督する専門機関はなく、水増し請求や安全管理の手抜きの温床になっていた。実際に、経済的に正当化できる水準を25〜30%も上回る料金が設定されていたと、パリ市が02年に行なった監査で明らかになっている。これらの問題から不満が高まり、2000年から2014年にかけて、49の自治体で「再公営化」された。

成功例は? 

一方で「コンセッション方式」が成功している例もある。自治体と民間が資金を出し合い、水道管理会社を設立したドイツである。事業者の裁量は大きくないが、自治体との情報格差がなくなるため、監査などが実質的なものになり、不透明な動きはなくなる。また、「ベンチマーキング」という、事業者のパフォーマンスを他社と比較する制度も成功要因のひとつだという。ドイツは住民の関心も高く、非効率的で質の低いサービスは存続できなくなる仕組みができあがっていたとのことだ。

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