3.キャラクターライセンスの可能性
とにかく、動画をアップし続け、チャンネル登録を増やす。もし、何かの拍子に話題になれば、様々なビジネス展開が可能になる。
例えば、キャラクタービジネスだ。一時は、ユルキャラブームだった。ユルキャラが画期的だったのは、地域と連携することで、マンガ、アニメ、ゲーム以外でキャラクターを認知させたこと。それをライセンスビジネスまで発展させることができた点にある。
そろそろユルキャラも飽きてきた。YouTube発の新たなキャラクター開発ができないだろうか。現状では、キャラクターを育てるために、YouTubeチャンネルを企画している例は少ない。どうせなら、そういう戦略もありだと思う。
キャラクターが育てば、何でもできる。絵本や書籍にしてもいいし、子供服メーカーや玩具メーカーとライセンスを結んでもいい。
4.一般の人が面白いと思う動画
私たちは、自分の職業や事業領域を無意識に決めている。いくら、面白い動画が良いと言われても、お笑い芸人でなければ、単純に面白いだけの動画を出すことに抵抗がある。そんなものを出しても何もならないと思うし、それは自分の仕事ではないと考える。
ここに致命的な思い込みがある。顧客志向ということは分かっていても、自分の顧客は過去の顧客のイメージで固まっている。YouTubeを見てくれる顧客は、一般の消費者だ。一般の消費者に対して、専門的な難しいことを言っても意味がない。一般の消費者にも面白がってもらえるコンテンツを出さなければならない。
YouTubeはチャンネル登録者が増えれば、広報としても、広告としても機能する。日清紡のCMでは、熊が「これは抜けない棒」と歌っている。昔の旭化成のCMでは、アルパカを出して「イヒ」と言っていた。これらは、社名を印象づけることに専念している事例だ。
YouTubeはキャッチーなCMと、真面目なビジネス動画を同時に蓄積できる。これはテレビにない機能である。面白いCMを作って、そこから、セールスのための真面目な動画に誘導する。でも、最初から真面目ばかりでは、誰も見ない。視聴率ゼロの番組では宣伝にならない。そこが重要だ。
YouTubeはテレビのように生放送ではないので、瞬発力よりも、ジワジワと広がる口コミ力を重視したい。コンテンツも爆笑ではなく、ジワジワ系で良いのだと思う。それをビジネスとして戦略的にできるのか。まずは、半年程、試行錯誤してみたいと思う。
■編集後記「締めの都々逸」
「好きなことして 大金稼ぎ ユーチューバーよ どこへ行く」
ユーチューバーが憧れの職業だそうです。でも、今の小学生よりは、我々の年代の方がユーチューバーに近いのではないか、と思います。だって、長年、面白いものを見ていますしね。小学生より経験も積んでいます。
でも、我々は頭が固まっています。自分で自分を規制してしまう。やればできるのにやらない。その点、小学生の方が経験がないだけ、思い切りがいい。頭柔らかくしましょうよ。そうすれば、ユーチューシルバー程度にはなれるかもです。(坂口昌章)
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