イメージが大切。買って食べて判った流行の高級食パンという市場

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最近話題となっている高級食パンですが、スーパーやコンビニで売られているパンとの味の違いは、素人にもわかるものなのでしょうか。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では著者で繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、昨今の高級食パンブームを事例に、小売業における「イメージで売る」という戦略を解説しています。

“イメージ”で売りまくる、高級食パン専門店

「乃が美」「に志かわ」をはじめとする、高級食パン専門店が、全国に広まっています。行列の絶えないお洒落なお店。ちょっと高いけれど、耳までやわらかく、もちもちしっとりとした美味しさ。人びとを惹きつける付加価値の高い食パンとして、注目を集めています。

私も食べてみて、美味しいことは認めます。しかし、1斤400円を超える代価を払う価値があるとは思えませんでした。“高級”を売りにするからには、材料を吟味し、食品添加物などを使わない食パンなのかと思っていました。現実的には、添加物を使わずに作るのは難しいのですが、それをやり遂げてこその“高級”なのではないでしょうか。

ですが、実際に買ってみると、「乳化剤」「pH調整剤」「安定剤」などの添加物を使っていました。また、純粋な材料ではない、加工品も使用されていました。これは、どういうことなのでしょうか。「職人がひとつひとつ丁寧に焼き上げました」と記載されていますが、メーカーが作る食パンとの違いがわかりません。

スーパーやコンビニで売られている、若干高めの食パンと比べてみましたが、その差はありませんでした。セブンプレミアムの「金の食パン」。パスコの「超熟」。フジパンの「本仕込」。これらの商品と同じレベルであることを確信しました。

なのに、価格は1.5~2倍以上。どこに、それほどの価値があるのでしょうか。

それは、店舗を外から眺め、入ってみて、買って、食べることによって、理解することができました。これらの食パンの価値は、すべてイメージだったのです

「高級そう」「美味しそう」「こだわりがありそう」。

そのイメージが行列によって増大され、価値ある商品だと思い込んでしまうのです。思い込みは、脳を麻痺させます。食べ物の味は、舌で感じるだけではなく、脳の働きが大きく左右します。脳に植えつけられたイメージが、「この食パンは美味しい」と感じさせるのです。イメージに左右されない人が、冷静な舌で味わえば、本当の価値はわかるはずです。

高級食パンを否定するつもりはありません。

それだけの価値があると納得して、行列に並んでいるのですから、他者がとやかく言うことではありません。むしろ、そうしたイメージを創り上げたお店の戦略を見事だと思っています。差別化の難しい時代において、高級食パンという新しい市場を築き上げたことに賛辞を贈りたいと思います。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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