どうなる今年のアカデミー賞。NYの映画通日本人が評価する作品は

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第7位 『天気の子』

https://tenkinoko.com/

まあああたく期待してなかっただけに、ヤラレました。僕個人は新海誠監督にまったく思い入れもなかっただけに余計ヤラレタ。恋愛モノだったらゲンナリだと思いつつ、結果、ニューヨークの劇場で見てよかったと思えました。

北米では「Weathering with you」というタイトルで公開されました。北米にも根強い新海誠フリークは多くいます。日本のアニメは完全に世界マーケット規模。で、「天気の子」は「君の名は」より数倍いいです。この作品に込められたメッセージは完全に世界に訴えるものだと思います。

でも、なにより、心に残ったのは映像。絵の力。細部にわたって描かれた「東京」は、確実に僕たちが行ったことのある「東京」。なんなら、実際の映像以上に、本物の「東京」。もっと言うなら、この作品で描かれた「東京」という街に一回、行ってみたくなりました。でも、全編、雨に打たれている、この「東京」は決してパッヒーエンドを期待させません。ベタな感想だけど、ここまで閉塞感を感じさせる日本を描いた作品はなかったのではないでしょうか。

第6位 『スパイダーマン:スパイダーバース』

https://bd-dvd.sonypictures.jp/spidermanintothespiderverse/

数多くある近年の「スパイダーマン」映画の中で最高傑作です。

サム・ライミ版が3本? アメージング版が2本だっけ? で、マーベルヒーロー版が2本。アベンジャーズシリーズを外しても、今作を入れて、8作あるスパイダーマン映画の中で、個人的ベストテン入りしたのは、今作だけ。従来のアニメ映画といより、紙のコミックをそのまま動かしたような新しい映像でした。(そのあたりの専門的なことはよくわかりません・笑)

で、メッセージ性という観念から見れば、実は「天気の子」以上です。「楽しませて、伝えたいことを伝える」というのは、ディズニーのお家芸ですが、そのディズニーを2019年のアカデミー賞では踏んづけちゃって叩き潰しちゃいました。アニメ映画史上の最高傑作だと思います。

第5位 『アイリッシュマン』

https://www.netflix.com/title/80175798

2020年、アカデミー作品賞、最有力候補、です。スコセッシ監督、デ・ニーロ、パチーノ、ペシ、主演。もう、映画業界のお祭りです。THE 映画。映画ファンのための映画。マフィア映画総決算。スコセッシ映画最高傑作です。ネットフリックス作品ですが、期間限定で劇場にかかり、贅沢空間を楽しみました。(ただ、俳優陣の若かりしころのシーンで、若い俳優を起用せず、そのまんまジジイたちをデジタル処理で若作りさせて出演させる意味はまったくわからなかったけど。あれ、おかしくない? )

後半は目が離せません。ぐっと来ます。監督も俳優も含め、この作品で長年のマフィア映画の「落とし前」をつけてくれた感じです。映画好きにはオススメします。そうでもない人には3時間半の上映時間は長いかも。

第4位 『クリード2 炎の宿敵』

http://wwws.warnerbros.co.jp/creed/index.html

ごめんね、「ロッキー」シリーズだから、無条件にベスト10入り(笑)このシリーズを語れ、と言われれば48時間あっても足りないので、全体的にハショります。

今作はシリーズのなかでも特に「ロッキー4」の続編と言えば、続編。「ロッキー4」なんて僕の人生のバイブルだから、この作品は語ることが多すぎて、語りつくせません。あのシーンも、あのシーンも、当時、瀬戸内海のど田舎でVHSを食い入るように見ていた中学生だったころの僕にリンクします。当時の自分の思いをすべて回収してくれました。

最後にひとことだけ。この映画のラストシーンは見事でした。考えうるなかで、最高のラスト。これ以上のラストはこの世に存在しません。キーワードは「タオル」。ドラゴは、35年経って、また負けて、で、35年経って、ある意味、勝ちました。ロッキー以上に勇気のある行為に、僕は号泣しました。(これ、シリーズ見てない人にはなんの話かさっぱりだな・笑)ちなみに、将来、娘が結婚相手を連れてきたら、その彼氏とふたりでシリーズ8作を(監禁して)見せるつもりです。男はそこからだ。

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