食い物にされる沖縄。軍事アナリストが呆れる知事公室の随意契約

2020.01.29
 

契約に関する費用が高すぎる

このとき、同じ沖縄県の資料に米国と同盟関係にある外国の地位協定の調査についての契約実績があるのに気づきました。まずは、金額をご覧ください。

  • ドイツ(現地調査コーディネートA) 2018年1月30日 3509ユーロ(現在の換算で42万7770円)
  • ドイツ(現地調査コーディネートB) 2018年1月30日 3008.5ユーロ(現在の換算で36万6756円)
  • イタリア(現地調査コーディネートA) 2018年1月30日 5362ユーロ(現在の換算で65万3663円)
  • ドイツ(追加調査) 2018年2月21日 269.333ユーロ(現在の換算で3万2833円)
  • ベルギー(現地調査コーディネート) 2018年10月26日 4418.08ユーロ(現在の換算で53万8593円)
  • イギリス(現地調査コーディネート) 2018年10月26日 6209ポンド(現在の換算で88万7380円)
  • 基礎情報収集 2019年6月18日 417万9600円 東京・株式会社アミット

なんと、4カ国の調査だけで708万6590円。どうしてこんなにお金がかかるのかといえば、沖縄県の資料によれば、「本県においては、ドイツにおいて同様の業務を委託した実績が少なく、本業務を実施できる業者が限られていることから、見積合わせ等を行うことが困難であるため」だそうで、そのため特命随意契約にしたとのことです。相手方については、個人につき非公表としています。

米国と同盟国の地位協定については、日米地位協定の妥当性を検証するためにも必要な作業で、日本政府が調査をしたかどうかも不明ななかでは、沖縄県が独自に調査し、その結果を日米両政府との協議に出し、改定すべき点を明確にすべきです。私は一貫して沖縄県知事に調査の必要性を強調してきました。

しかし、この程度の調査だったら私とおなじみ西恭之氏(静岡県立大学特任助教)の2人で1カ月以内に終えることができますし、報告書も帰国から1カ月以内には出せるでしょう。お金もこんなには必要ありません。

しかも、ヨーロッパに住んでいる氏名を開示できない個人に委託しているというのも解せません。専門的な知見がある人物かどうかもわからないではないですか。同じように委託するのであれば、日本や米国の適切な専門家を選び、透明性の高い調査をするのが筋です。基礎情報収集の契約がいちばんあとになっているのも首をひねります。

これは明らかに沖縄で「商売」をしていると思われる人たちに、沖縄県が食い物にされていると疑われてもしかたのない構図です。

要するに、右であれ左であれ、基地問題でメシを食う向きが沖縄にはあまりにも多すぎるということではないでしょうか。知事公室の随意契約には、その氷山の一角がのぞいていると思わざるを得ないのです。(小川和久)

image by: EQRoy / Shutterstock

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地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。

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