【カンブリア宮殿】売上高3兆円。JR東日本の飽くなき挑戦

 

駅弁を本気で海外へ~JR東日本の新たな挑戦

千葉県のJR新習志野駅にとんでもない列車がやってきた。一見、ありきたりの車両に見えるが、行き先が「ジャカルタ」となっている。「日本の中古車両で、これから海を渡るんです」と、見物に来た鉄道ファンが教えてくれた。

インドネシアの首都、人口1000万人のジャカルタ。コタ駅のホームに入ってきた色鮮やかな列車は、JR東日本の武蔵野線で使われてきた中古車両だ。JR東日本は、使わなくなった車両を活用してもらおうと、現地の鉄道会社に格安で販売してきた。その数476両。この鉄道会社の車両は実に6割がJR東日本のものだという。

車両を輸出しているだけではない。地元のマンガライ車両基地を覗いてみると、最新鋭の機器を導入した高度なメンテナンス技術を、JR東日本の社員がつきっきりで指導していた。今までまともに車両整備してこなかったこの鉄道会社では、これによって飛躍的に列車が長持ちするようになったという。安全技術の輸出だ。JR東日本はさらに驚くべきものを輸出しようとしている。

ロンドンで開かれていたのは日本の様々な文化を伝えるイベント。そこに客が殺到するブースがあった。圧倒的な集客を見せていたのはJR東日本の「EKIBEN」だった。駅弁が飛ぶように売れていく。「今まで駅弁販売は台湾とフランスで行ってきました。イギリスは初めてですが、鉄道文化がしっかりある国で販売したく、チャレンジしました」(ロンドン事務所・名川進)

JR東日本は本気で駅弁の海外進出に打って出ようとしている。実際に去年、駅でテスト販売をしてみたフランスでは、すでにそのおいしさが知られ、話題となった。「エキベンジャポン」という試食イベントでは、東北の駅弁メーカーが出来たてを提供していた。「この機会に岩手県の弁当をフランスの方々に紹介しようと思って頑張っています」と、斎藤松月堂の熊谷昭宏さん。

会場にはフランス国鉄の関係者の姿もあった。ドミニク・トラミニさんは「フランスには駅弁のような食事が今までなかった。フランスで作るのもいいかもしれない」と言う。

一方、おなじみの「キオスク」でも、今までにないチャレンジが始まっている。JR東日本は今、キオスク改革の真っ只中だ。JR日暮里駅の「キオスク」。かつて店の前を占めた新聞や雑誌は隅に置かれ、代わりに主役となったのは、高級おにぎりや、他にない「ボンカレーおにぎり」、さらに、岡山で発見したおいしい「生クリームパン」などという商品もある。女性の心をつかむべく、必死で挑んでいた。

カンブリア_JR東日本②_04

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