【カンブリア宮殿】売上高3兆円。JR東日本の飽くなき挑戦

カンブリア_JR東日本①
 

JR東日本が昨年4月に発表した2019年3月期の決算で、売上高が初めて3兆円を突破。新幹線などの運輸収入が過去最高だったことや、東京駅の店舗売り上げが好調だった流通・サービス事業など各事業で好調を維持した。固定資産の売却益などから最終利益も2.2%増の2952億円と過去最高を更新した。新たな挑戦を重ねていくことで成長を続けるJR東日本。「テレビ東京『カンブリア宮殿』(mine)」は、放送内容を読むだけで分かるようにテキスト化して配信。攻め続けるJR東日本のチャレンジを紹介していく。

強みは地域との信頼関係~JR東日本の観光列車

青森から岩手の海沿い、JR八戸線を走る白い列車。「東北エモーション」というレストラン列車だ。車内に腕利きのシェフが乗り込み、その場で作りたての料理をふるまってくれる。その味わいは本格派。この日は岩手で育てられた「ホロホロ鳥のモモ肉」。とろけるような柔らかさが客をうならせていた。2時間、様々な料理を楽しめるコースのランチが付いて7900円(運賃を含む)。お値打ち感も人気の理由だ。

さらに客を魅了するのは、突如現れた、旗を振り列車を出迎える大勢の人たち。週に4回、「東北エモーション」が通るたびに大漁旗を振っているのは地元の人たちだ。ボランティアとして集まってくるのは、「津波で被害を受けたので、鉄道が廃止になると思っていた。JRに対する感謝の気持ち」(地元の漁師)からだという。

JR東日本は、そんな存続の危機にあったローカル線を人気路線に変えるべく、20もの観光列車を走らせてきた。新潟の田んぼを走るのは「越乃シュクラ」。のどかな景色を眺めながら、地元の酒が味わえる。酒どころを走る日本酒列車なのだ。地元の味わいの食事に大吟醸までついて、総額7600円(料金はコース、季節によって変わる。運賃を含む)だ。

一方、一度は乗ってみたい寝台列車がJR東日本が誇る「四季島」だ。食材は、旅で回る地域に徹底的にこだわったものばかり。料金は1泊2日で1人32万円~。JR東日本の観光列車には原点とも言える存在がある。それが1997年、秋田~青森間の五能線で運行を開始した「リゾートしらかみ」だ。当時、五能線は廃止が囁かれていた。

ところが今、「リゾートしらかみ」の停車駅はにぎわっており、ローカル線ランキング1位(楽天トラベル調べ)に選ばれ、日本で一番人気のローカル線となった。「リゾートしらかみ」の最大の魅力は、海岸線ギリギリを走る五能線の絶景だ。だが、感動はそれだけではない。途中で乗り込んで来た2人組によって始まった津軽三味線に、客は思わず身を乗り出す。この土地ならではのサプライズ。飛び入りの演奏者たちは地元の人だ。そのひとり、佐々木賢一さんは「『これが楽しみで乗った』というお客さんもいるんです。そのひと言でテンションがバンバン上がる」と笑った。

次に乗り込んできたおばさんたちも地元から。津軽弁で昔話を披露する。JR東日本は、こんな地元との楽しいタッグで客を増やしてきた。五能線を復活させるためのJR東日本と地元との連携は、すでに20年になる。その信頼関係こそが最大の強みだ。鶴田町企画観光課の佐藤一人さんは、「スクラムを組んで取り組んで
きたことが今に続いている。ありがたいと思っています」と言う。

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