蔓延する新型肺炎に関しては「バイオテロ説」も囁かれ続けていますが、ここに来て驚くべき情報が飛び込んできました。元国連紛争調停官で国際交渉人の島田久仁彦さんは今回、自身のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』で、とある人間が口にした「テロを実行したのはアメリカ」という説を紹介。その信憑性をさまざまな側面から分析・検証しています。
国際情勢の裏側、即使えるプロの交渉術、Q&Aなど記事で紹介した以外の内容もたっぷりの島田久仁彦さんメルマガの無料お試し読みはコチラ
新型コロナウイルス蔓延が暗示するトランプ大統領の対アジア戦争
「バイオテロ説が急浮上。新型肺炎の蔓延が映す破滅へのプロローグ」では新型コロナウイルスの広がりについて激し目に取り上げ、バイオテロの可能性について述べました。当初、私も中国当局による“ミス”で、武漢にある生物兵器製造施設から、開発中の新型コロナウイルスが漏洩し、今の制御不能な感染拡大に繋がったのだと、人為的ミスと中国政府(中央も地方も)の消えない隠ぺい体質ゆえの初動の遅れが大きな元凶かと考えていました。
しかし、仮にバイオテロ的な要素があったとしても、それとはまったく違ったシナリオが浮かんできました。先週号を発行した後、さまざまなところで記事が転載されたこともありますが、記事を読まれた方から、ある可能性について言及がありました。
【今回の新型コロナウイルスの蔓延がバイオテロによるものだとすれば、実行したのは、中国当局ではなく、アメリカなのではないか】
という可能性です。
まさに映画で見るような陰謀論の典型例みたいなお話しに感じたのですが、様々なfactsを合わせて分析してみたところ(そしてそれぞれのエリアの専門家に意見を聞いてみたところ)、ある可能性が浮かんできました。
トランプ大統領は中国に対し、就任当初は習近平国家主席にラブコールを送り、米中協力の下、二大国による世界秩序の構築を意図していたようですが、一党独裁でかつ国家資本主義体制の下、アメリカ企業の世界経済における優位性がどんどん中国企業に奪われていく様子に焦り、今度は、掌を反して、力(軍事・経済力)を十分に駆使した“対中戦争”へと舵を切りました。そのタイミングは、習近平国家主席が初めて訪米し、フロリダでトランプ大統領と米中首脳会談を行っていた時に、アメリカの空母がシリアの化学兵器使用に警告を送る形で、シリア領内にトマホークミサイルを撃ち込んだ、あのタイミングからスタートしています。
一番顕著なのは、その後、連発されることになる対中報復関税措置ですが、その対象エリアを見て首を傾げられた方もいらっしゃるのではないでしょうか?実質的に対中貿易赤字を累積させるようなセクターや商品が対象なのではなく、トランプ大統領の支持層である白人低所得者層である“ラストベルト”の人たちが働くセクターを対象エリアとしています。
『これまでの政治家が気配りをすることがなかった、忘れられたがかつての豊かなアメリカの基盤を作ったセクター(鉄鋼や石炭、農業など)で、中国に奪われた仕事と繁栄を取り戻す』という旗印の下、トランプ大統領による対中貿易戦争はスタートしましたが、これらは実際にはすでに長く衰退産業であり、また同時に関税措置をかけたところで、中国経済にネガティブなインパクトを与えるような対象ではありません。
確かにこれらのセクター、特にインフラ整備に係るセクターについては、習近平国家主席が推し進める一帯一路とOne China, One Asia政策のエンジンとして捉えられていますが、アメリカ経済への影響という観点から見ると、さほど大きなインパクトとはなっていません。あくまでも、トランプ大統領から仕掛けられたけんかは、彼の政治的な思惑がたっぷり詰まった施策であると言えるでしょう。
どちらかというと今回の米中貿易戦争の煽りを食らっているのは、東南アジア諸国経済でしょう。メディアでは、『今回の措置は中国には大きなボディーブローとなり、経済成長率を“大きく”引き下げることになる』と恐怖心をあおっていますが、心理的な影響はあったものの、実質的には、ファーウェイ問題のような“国際的な踏み絵”という悪影響・悪印象はあるものの、中国経済にとっては、国家資本主義という性格上、さほど影響はないようです。
国際情勢の裏側、即使えるプロの交渉術、Q&Aなど記事で紹介した以外の内容もたっぷりの島田久仁彦さんメルマガの無料お試し読みはコチラ