名将・野村克也監督が語る、「伸びる選手」「強いチーム」の条件

chichi20200218
 

野球界のみならずお茶の間にもその名を馳せた、野村克也監督。「おれのチームはいつも弱い」とぼやきつつ強敵を打ち負かす戦いぶりに、留飲を下げた方も少なくないことでしょう。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、かつて野村監督が「強いチームを作る戦略・戦術」について語った独占インタビューを再録しています。

追悼―野村克也さんが残したもの

三冠王を獲得した強打の名キャッチャーで、監督としても日本一に3度輝いた野村克也さんが亡くなりました。84歳でした。

南海、ヤクルト、阪神、楽天の監督として通算24年。他球団で戦力外となった選手を蘇らせ、強者を倒す戦略・戦術は他球団からも高く評価されていました。名監督が月刊誌『致知』だけに語った「伸びる選手」「強いチーム」の条件を再録し、故人の功績を偲びます。

強いチームの条件 野村克也

強いチームと弱いチームの境はどこにあるのか。やっぱり、中心なき組織は機能しません。鑑(かがみ)になる人が組織にいるといないとでは、チームづくりが全然違う。鑑というのは、例えば王や長嶋のことです。巨人から南海にトレードされてきた選手が何人かいましたが、彼らが口を揃えて言ったのは、「王さんや長嶋さんがあれだけやるから、我々もボヤボヤできないですよ」と。

要するに野球の技術はもちろん、私生活も含め、模範となる選手です。「王に見習え」「長嶋を見習え」と言える選手がいると、チームづくりがしやすいんですよ。だからあの巨人のV9という偉業は、単にいい選手が揃ったからでなく、いい選手たちがみんな熱心に野球に取り組んだんでしょう。

また、その指揮官だった川上哲治さんも偉かったと思います。ある時ミーティングに長嶋が遅れてきて、しかも筆記用具を持たず、手ぶらだったそうです。川上さんは長嶋を注意して、筆記用具を取りに行かせて、その間、ミーティングは中断したと聞きました。

鑑となる選手とはいえ特別扱いせず、礼節を乱した時はきちんと叱る。また、そうすることで他の選手も引き締まるんです。だから、強いチームには節度、いい意味での厳しさがあります。逆に、弱いチームは仲良しチームになっていますね。

ヤクルトに行ったばかりの頃、ミスした選手がベンチに帰ってきた時、「ドンマイ」と声を掛けた選手がいたんです。「何がドンマイじゃ、このバカやろう」って烈火の如く怒ったんですよ。プロはミスが許されない世界です。その感覚がなくなっていくんです。

image by: Nomura19 [Public domain]

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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