この具体徹底してやって、ようやく削減率で72%になるようです。例えば、スペインやフランスなどの場合は、接触率を1から2%程度にまで削減しようとしていますが、そのためには「基本的にあらゆる経済活動を停止」とか「自宅の前数十メートルまでしか出てはいけない」というような話になります。
武漢の最も厳しい時期には、買い物は「家族の代表1名が一週間に一回」というような規制をして、それをアプリで管理し、アプリの上で「きちんと守っている」という証明がないと、買い物もできないといった厳格な運用をしていたようですが、そうしないと「1%」というのは達成できないわけです。
こうした対応と比べると、日本の場合は非常に緩いわけです。非常に粗っぽい見方をするのであれば、非常事態宣言をするのとしないのとでは、
「3密業種とイベントの規制」
ぐらいしかできないことになります。一方で、一般的なオフィス業務を継続する分は、大学以下の学校と塾を閉じることで、削減率をチャラにしようという設計も見え隠れします。トータルでの削減は40%ぐらいで、あと、これに人々の自主的な危機感で20%乗せて、全部で60%位を狙っているように見えます。
そう考えると、日本の対応はいかにも甘く、欧米と比較すると、このままでは爆発的流行になってしまうのではないかという心配が出てくるのも分からないではありません。
ですが、とにかく現時点では新型コロナによる死者数を比較してみると、
- ニューヨーク:累計4,758
- 東京:累計30
という歴然とした差があるのは事実です。後述しますが、肺炎死亡者数にコロナ死者が紛れているという説は否定できませんが、それでも、どんなに多くてもプラス100程度であることを考えれば、やはり東京の現状については、
- 潜在的な無症状者も含めた感染数
- 一人の感染者が更に感染を拡大する率
のいずれについても、「爆発」には至っていないように考えられます。問題は「爆発に至っていない」ということではなく、感染を拡大する率(R0)が
- R0>1
ならどんどん感染が拡大する一方で、
- R0<1
であれば、感染は収束するわけで、東京の場合はこのようなマイルドな対策でこの「1以下」ヘ持っていける、そうした判断があるのだと思います。そのために大切なのは「これ以上、メガクラスターを出さない」ということで、大学を休校にして、イベントとライブハウス、夜の飲食をシャットアウトすれば、出口が見えるということだと思います。
米欧や中国から見れば、東京の対策は本当に「甘くて心配」…という感想になるのは分かります。ですが、先進国中で日本の経済は非常な脆弱性を持っています。その日本経済を崩壊させないで、何とかコロナを収束に持って行く、そのためには、この政策パッケージで数字上は収束に行ける、そのような判断が安倍政権、特に厚労省と都庁の間で合意されている、それは確かです。
その意味で、当面は「ロックダウンなし」で進めようということなのだと考えます。繰り返しになりますが、東京がロックダウンしないのは、人権意識が高いからできないとか、企業エゴが強いというのではなく、「しなくても、あと一歩の対策が徹底できれば」効果が上がって収束が見えてくる、そのような「欧米よりはマシな状況」があるということだと思います。