ここにもコロナの影響。NY原油先物が史上初マイナスになった理由

 

なぜ【マイナス価格】に?

ところが、「歴史的合意」も、価格を維持するのには十分でなかったようです。いえ、全然全然全然足りない…。何が起こったのでしょうか?

NY原油先物、史上初のマイナス コロナで供給過剰に

朝日新聞DIGITAL 4/21(火)5:46配信

 

週明け20日の米ニューヨーク商業取引所で、原油価格の指標となる米国産WTI原油の先物価格(5月物)が1バレル=マイナス37.63ドルと、史上初めてマイナス価格で取引を終えた。

1バレル、【マイナス】37.63ドル!!!「なんじゃそりゃ~~~~」ですね。見たことも、聞いたこともない話です。「原油価格が【マイナス】」って、どういう意味なのでしょうか?

前週末の終値(1バレル=18.27ドル)からは55.90ドル幅もの急落となる。取引時間中に一時、1バレル=マイナス40ドル超まで低下した。マイナス価格は、原油の売り手が、通常とは逆に買い手にお金を払って引き取ってもらうことを意味する。
(同上)

普通は、お金を払って、原油をもらいます。それが今は、原油をもらって、お金ももらえる。1バレル原油を引き取ると、37.63ドルももらえると。なぜ、そんな変な話になったのでしょうか?「超短期の理由」と「短期の理由」があります。まず「超短期の理由」から。

WTIの先物取引は、米オクラホマ州で現物の受け渡しが生じうる。近辺の貯蔵タンクやパイプラインが満杯に近づき、海上のタンカーを含めて原油を保管する料金が跳ね上がっていた。期近の5月物は取引期限が翌21日に迫っており、保管料がかさむ現物を抱え込みたくない投機筋や生産者らが損失覚悟で投げ売りに走ったとみられる。
(同上)

なるほど~。高い保管料を払うより、金を払って原油をひきとってもらった方が、「損失が少ない」と判断したのですね。次に、「短期の理由」。

ウイルス感染を防ぐための移動・外出規制で、航空機や自動車による人の移動が止まり、エネルギー需要が世界で吹き飛んだ。国際エネルギー機関(IEA)は、今年の世界の石油需要が前年比で日量930万バレル減ると予想。とくに4月は前年同月比2,900万バレル減と、世界の原油生産量の3割にあたる史上最大級の落ち込みになるとみられる。
(同上)

「短期の理由」は、新型コロナ災で、エネルギー需要が激減していること。私は、「悲観論者」ではありませんが、世界と日本を見るに、「大変なこと」が起こっています。

世界経済悪化の原因は、「新型コロナウイルスが恐ろしくて、皆家に座っていること」。結局、新型コロナ災がいつ終わるのかという話なのですが。欧米では、「感染はピークに達した」といわれています。ですが、アメリカでは、トランプさんが経済活動再開に前のめりで、2波が来る可能性がある。一方、日本やロシアなどは、現在ピークにむかっている最中。

IMFも認めているように、今年はリーマンショック翌年の09年よりひどく、1929年に起こった「世界恐慌時並」になる。皆さん、がんばって極寒の時代を生き抜いていきましょう!

image by: Shutterstock.com

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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