簡単に正社員をクビにできぬ「解雇規制」が日本企業を崩壊させる

 

新型コロナは、色々なところで負の影響を社会に与えていますが、これまで様々なしがらみを抱えていたために、時代遅れな体質を変えることが出来なかった企業にとっては、別の形での再スタートを果たす、絶好の機会なのかも知れません。

分かりやすいのがデパートです。今や、デパートという小売形態が時代にマッチしていないことは明確なので、

  • 店舗を捨てて、オンライン販売に特化した会社になる
  • 立地条件の良い場所にビルを持っていることを活用して、不動産事業に専念する
  • 地下の食料品売り場を活用して「食」で勝負する会社になる

などのドラスティックな事業形態の変化が必要で、そのためには「従業員の8割を一気に解雇する」ぐらいの荒療治が必須だと私は思います。

私がこの手のことを言うと、「日本には解雇規制があるから無理」と言う人がいますが、そもそも解雇規制の定義が曖昧だし、法律は社会を良くするために存在することを考えれば、企業を破滅に追い込むような解雇規制そのものを、そろそろ見直すべきだと私は思います。

日本のマスコミは、日本の生産性がバブルの崩壊以来、低迷しており、先進国の中でも最低水準にあることをしばしば記事にはしますが、そんな状況を作り出している1番の原因が解雇規制であることを真正面から指摘する記事や社説は皆無に近いように私には見えます。

そもそも、「正社員を簡単には解雇できない」としている解雇規制があるから、日本には正社員と非正規雇用というカースト制のようなものが出来てしまった上に、新卒採用の段階で一度失敗すると、それを挽回することがとても難しいという不寛容な(=失敗を許さない)社会が出来上がってしまっているのです。

新型コロナを機会に、解雇規制を撤廃し、正社員と非正規雇用のギャップを排除し、人材の流動性を高めた上で、生産性の向上を図るべきだと私は思います。

image by: Ned Snowman / Shutterstock.com

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マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。

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