中国に走る動揺。予想以上だったトランプ「国交断絶」恫喝の効果

 

ニューノーマルでの産業構造は

東京の新型コロナ抗体陽性率が0.6%と、ほとんど人が新型コロナウイルスに感染していない。このため、免疫獲得と言う正常化は、とても無理である。新型コロナへの感染を防止する対応策しかないことになる。

このため、当分、ウィズコロナの時代が続き、人の移動が制限されることになる。インバウンド需要がなくなるか、非常に少なくなる。鎖国状態のままでいるか、台湾などの低感染率国との交流を少し開くしかない。

また、社会的距離を取って行動するなど、社会経済活動に大きな制限が当分続くことになる。これに伴い、産業構造も変化する。

今の8兆円規模の観光産業は、今後当分半分以下の規模になる。飲食店も収容人数を少なくする必要があり、これも収入が激減して難しいことになる。今は休眠会社化して、雇用調整助成金などで繋いでいるが、緊急事態宣言が解除されると、廃業になる可能性が高い。

今まで、サービス産業を中心に日本は経済成長をさせてきたが、それができなくなる。アベノミクスの経済成長シナリオの中心的な部分を大きく変更しないといけない。どう変えるかを検討する必要になっている。

ウィズコロナの時代は、サービス産業から製造業・農業などを中心に据えた経済成長シナリオに戻すしかない。

これから当分は、生活医療の安全保障と言う考え方をする必要になる。N95マスク、医療用防護服、医療機器、医薬品、衛生用品などの原材料から自国生産する必要がある。

いつ生産国が第2波到来で、封鎖されてもいいように、自動車産業は、生産国を制限して、最終生産国に部品から完成までのサプライチェーンを揃えることが必要である。日本企業は日本の労働賃金も低くなってきたので、日本に戻すことも考えることである。自国でのサプライチェーン構築のためにも企業利益を考えて、保護主義政策を取るしかない。

日本が遅れていたが、人の接触を少なくできるIT産業やオンライン化産業も進めていくことが必要になっている。足りない人材は、海外から日本に呼び寄せることである。

各国が食料不足の心配で輸出禁止になる可能性があるので、農業も大規模農業で自国生産分を増やすことが必要になる。ここでも保護主義が必要になる。安全保障のために、保護主義となり、地産地消経済になるしかなくなる。日本も、安全安心が必要な物は、自国生産することである。物価が上がるが、安全の方を優先するべきである。

この面からウィズコロナのニューノーマルで日本の成長戦略を見直すことである。

また、社会的制約が大きくなるので、当分、経済規模は大幅な縮小になり、国民の困窮を和らげるために統制経済を敷くしかない。企業への資本投入で、一部国営企業化することも必要になる。企業の優先株を取得し、該当株が高くなったら売ると考えれば、国家投資であると見える。儲けが発生するようにして、財政負担をなるべく小さくすることである。国家は、最後の投資家であり、儲けを意識することである。

同じように、効率的な統制経済にするためには、日銀も株と債券の逆相関性を利用して、制御するべきなのである。株が上がると債券は下がるし、株が下がると債券が上がることになる。株が下がったら買い債券を売り、株が上がったら売り債券を買う行動で、市中の資金量を高めないで制御するのである。日銀は、最後の金融バランサーでもある。そして、危機の時に社債やCPを買い、企業を助けることである。この部分は最後の銀行である。

経済運営に国家が出るのは良くないが、ウィズコロナ時代は経済的な縮小が続く特殊な時代であり、ワクチンができて完全に経済が正常化できるまでは、国家が前面に出るしかない。

そして、国家統制をきつくして、政府は経済縮小での国民全員が困窮しない経済体制を作ることである。それと、リスクとしてある中国経済金融崩壊に対応する仕組みを考えることである。軍事的な側面も忘れてはいけない。

さあ、どうなりますか?

image by: Evan El-Amin / Shutterstock.com

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【著者】 津田慶治 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎月 第1〜4月曜日 発行予定

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