デキる男はやっている。成功者たちの「シナリオ書き換え力」とは

shutterstock_171682469
 

世の中で成功している人たちについて、前回の記事「あのイチローも。成功者になるパターンは2通りしかない納得の訳」の中で、「シナリオ通りに人生を歩む人」と「シナリオを書き換える力を持っている人」に大別できると述べた、米国の邦字紙「NEWYORK BIZ」CEOの高橋克明さん。今回の記事では、多くの人たちが目指すべきは後者のパターンだとし、長期的にポジティブであり、一定数のエラーが必要だと、自身のメルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』でその秘訣を明かしています。

【関連記事】
● あのイチローも。成功者になるパターンは2通りしかない納得の訳

自己啓発より自己破壊を! あるいは、セミナーや講演会で伝えきれなかった、僕がいちばん伝えたいこと ~後編 ~

Can Swim ではなく、Swim といえば、もうひとり、思い出す方がいます。ウエディングデザイナーの桂由美先生。僕はこの世界的ブライダルファッションデザイナーにおそらく3回か、4回、単独インタビューをしました。あのローマ法王が、復活祭で、着用するほどの衣装をデザインした、全世界でもっとも有名なブライダルファッションデザイナーです。

先生にインタビューする際、いつも思うのは、「過去の話を振った際、ものすごく、めんどくさそうな顔をされる」ということ(笑)です。インタビュアーのこちらとしては、数々の今までの栄光の話も聞きたいわけです。

あのニューヨークの老舗有名デパートのライバル関係である、サックス・フィフス・アベニューと、ヘンリー・ベンデルの両巨頭は、五番街を挟んで同じデザイナーの服を売らないことは有名ですが、YUMI KATSURA だけ、わざわざ別のデザインを発注して、両店舗が売り場の商品に並べました。その時の話も聞きたい。そして、80年代に、パリにおいて、日本人デザイナー初のグランドコレクションを敢行。それだって聞きたい。それらを取材で外すわけにはいきません。

でも、先生は、いつも「うーーーーん…どうだったかしら…。忘れたわ」「……(笑)」

ところが「来年の目標はなんですか?」と話が未来、この先のことに変わると、途端、目をキラキラさせて、いっぱいいっぱいお話しくださいます。

「今ね、京都の幽庵焼きってわかる?その色、素材を使って、まったく新しい生地を開発してて、どーのこーの、どーのこーの…」話は止まりません。

先生にとって、過去はどうでもいいことみたいです。それが世界的に名誉あることでも過去は過去。過ぎ去ったことに興味はない。先生はその時、すでに80を超えてらっしゃたと思います。でも、先生の目は前にしか向いていない。それは、努力とか、根性とか、ガッツでしょうか?

断言して違う、と言い切れます。先生は、また新たなウエディングドレスをこの世に生み出すことが、楽しくて楽しくてしょうがないのだと思います。

実際、ニューヨークでの先生のコレクションをお手伝いした時のこと。数ヶ月かかったイベントの当日。ショーの開始前、僕はランウェイの最前列、先生の真横の席に座っていました。で、いざショーが始まると、隣の先生は、そのままスーっっと寝てしまいました。唖然とする僕。

ええええええ! このイベントに向けて、先生もスタッフも数ヶ月かかりっきりだったのに。やっとショー当日を向けたのに。最前列で寝ちゃうの!!??

起こした方がいいのかな、と迷っていると、後部座席のお付きの方から、「そのまんま、寝させてあげてください」と耳打ち。ここ数ヶ月、先生は今回のショーのため、極度の睡眠不足だったのだとか。それにしても、ランウェイは数十分、すぐに終わります。

でも、先生にとっては、イベントそのものも、もう過去なのでしょう。あとはモデルさんの仕事。自分が手がけるのは、そのモデルさんが着る衣装。また新しいウエディングドレスを作りたい。やっぱり未来しか見ていないのだと思います。まさしくウエディングドレスを作るために、この世に生まれてきた人間。

果たして、たとえ、どのジャンルであれ、僕たちは先生のようになれるでしょうか。彼らは、やはり、常人には理解できない域まで達している。

簡単に言うと「天才」という言葉になってしまうのかもしれません。もちろん、圧倒的な努力をしています。でも、そのありえないほどの努力ができる、というのも、ある種、才能なのかもしれません。もちろん、彼らから学ぶことは山ほどありますが、正直なことを言うと、本質的な意味でリアルに彼らのようになれるとはどうしても思えない。

やはり、天に愛された人たちなのだと思います。よく日本の自己啓発本で「ICHIRO選手に学ぶ成功哲学」とか、「イチロー名言集」とか発刊されているのを目にしますが、多くの勉強になるのは間違いないとして、果たして、その言葉面だけを真似しても、本質的な意味でたどり着けないようにも思えてしまいます。

彼らのような人間は、今まで1000人インタビューしてきて、その1000人は、全員、すでにもちろん成功者で大物なのですが、その1000人の中でも、おそらく、20人~30人しかいなかったと思います。常人では理解できないほどの、圧倒的な才能、努力、意志力で、人生をシナリオ通りに運ぶ、パワーを持った人たち。

そして、僕たちが、参考にすべきは、それ以外の970人~、980人の成功者の方ではないでしょうか。実際に、シナリオ通りに人生が行かなくても、それでも、シナリオを書き換え、現実的な成功を手に入れた人たちの方です。彼らの方こそ、リアルに僕たちが参考になる生き方をしている気がします。本質的に同じ人間。感性も思考も真似できなくはない。そして、僕たちと同じように、僕たちと同じ種類の挫折を、同じくらいの回数の挫折を、経験してきています。

print
いま読まれてます

  • デキる男はやっている。成功者たちの「シナリオ書き換え力」とは
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け