豊臣秀吉「中国大返し」に学ぶ、現代のビジネスで天下を取る方法

shutterstock_1492614212
 

部下や後輩、チームのメンバーをやる気にさせるにはどうしたらよいのでしょうか? これは、人を束ねる側に立った時に誰でもぶつかるハードルといえるのではないでしょうか。難しいのですが、ビジネスマンにとっては必要なこと。まさに「それが仕事をしていく上で重要だ」と語るのは、無料メルマガ『戦略経営の「よもやま話」』の著者・浅井良一さん。浅井さんは、その例として豊臣秀吉が成し遂げた「戦国ドリーム」ともいえる奇跡のような合戦を挙げ、それを現代ビジネスに変換し解説しています。

“やる気”はどうしたら生まれるか 秀吉の中国大返し

人はどのように“働きかけられた”ときに動きだし、またどのようにすれば“活気づく”のか、これを良く知る者が名指揮者となりえます。ただし、戦略眼がなければ実りのない方向に導いてしまうので、偉大となるためには、リーダーシップと戦略眼が必要であると言えます。難しいのは、この二つをもって変化のなかで成果を得ることです。

※ 一言を入れますが、最大の戦略眼は、すべての人の戦略眼と知恵と貢献を活用することです。

大雑把な解説になるのですが、豊臣秀吉のことを考えてみます。歴史好きな人ならよくご存じだと思うのですが、秀吉の事跡で輝かしい「中国大返し」はその代表的な一つでしょう。備中高松から京までの230kmを2万以上の軍勢を引き連れ10日間でたどりついて、ただちに合戦におよんで勝利し天下取りの道を開きました。

ここでよくよく考えていただきたいのですが、なんで2万以上の将兵が、暴風雨や河川の氾濫を厭わずに大返しをなしたかということです。信長の仇を打とうとして、必死になったのでないことは確かです。この時の将兵を駆り立てた衝動は、例えるなら多額の当たりくじが高い確率で頻発する販売場所に殺到して、くじを買うことだったのでしょう。

時は大きな混乱期で、野望を持つ人間に多くのチャンスを提供する時代で、それは社会の底辺で埋もれているあぶれ者にも、能力さえあれば思いもよらぬ未来が約束されました。

戦国時代の信長は時代に先駆けてのイノベーションを頻発させて、それらを成功させて急拡大したベンチャーだとも言えそうです。そのなかでの秀吉軍は、気前が良く気配りもよい事業部長のもとに、多くのあぶれ人材が引きつけられてふくらんだ勢力だと言えます。このこと踏まえて話を進めて行きたいので、ポイントをご理解ください。

話を「中国大返し」のことに戻しますが、秀吉は、大返しで姫路城にたどりついた時、将兵に城内に備蓄してあった金銭・米穀をその身分に応じて悉く分与してしまいました。帰りつく場所のない、まさに「背水の陣」を敷いたと言えます。勝てば夢のような恩賞、一国一城の主も夢でない、まさに生涯に一度あるかないかの戦国ドリームが現出したのでした。

人をして奇跡とも思える行動に導くためには、この「中国大返し」でおこった状況を現出させることです。今日と言う時代は「情報化時代」であり、100年に一度の変革期であるとも言われており、確かな戦略眼をもって己のミッション(使命)を見切り、能力ある人材に場所と機会を提供し欲求を満たすことです。

多くの急成長しているベンチャー企業がおこなっているマネジメント手法は、人の活力を最大化する基盤をここにおいています。組織形態、管理(広義の)方法においては、従来の型とは異なります。企業のコンセプトや規範の基に、個々の社員が自由に企画して自身の物心両面の夢を適えられるような舞台設定が用意されるのです。

これが多くの成功を勝ち取っているベンチャー企業のビジネスモデルで、ここでは、起業家精神にあふれた人材や専門スキルを活用できることを喜びとするIT等の技術者が心置きなく力を発揮できるのです。

print
いま読まれてます

  • 豊臣秀吉「中国大返し」に学ぶ、現代のビジネスで天下を取る方法
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け