バイデン氏の副大統領候補を徹底予想。日本に与える影響は?

 

(人気4位)「カレン・バス下院議員」

カリフォルニア選出のベテラン議員であり、現在66歳。左派の中核議員、民主党の黒人議員団の団長ということもあって、政界ではかなり大物と言われています。今回、7月に入ってから急速に「副大統領候補」として取り沙汰されるようになったのですが、その背景には左派の師匠格であるバーニー・サンダース氏が、この人を強く推薦したという説があります。

反対にサンダース氏がそこまで強くバス議員を推したということは、サンダース氏は「ハリス氏ではダメ」という意向を持っているということなのかもしれません。それはともかく、このバス氏、バックグラウンドは公衆衛生であり、コロナ対策にも力を発揮するのではと思います。

この人については、先週に入って怪情報が飛び交っています。1つはキューバのフィデル・カストロを称賛していたという「過去」が暴露されたということで、かなり半端なく持ち上げていたらしく、執拗に批判されています。

もう1つは、新宗教の「サイエントロジー」に近いという報道で、これも事実ならダメージになるでしょう。それだけ怪情報が流れるということは、ハリス陣営などから警戒されているということなのかもしれません。

(人気5位)「ヴァル・デミングス下院議員」

アフリカ系の女性で63歳。フロリダ州(10区)選出の下院議員ということで、この人を選択する意味は選挙戦術上は十分にあると思います。知名度は結構あり、特に2019年には下院の民主党議員団における「トランプの弾劾裁判における弾劾委員」をやって、上院に乗り込んで演説する姿などは話題になっていたからです。

このデミングス氏、実は政治家になる前は警察官一筋のキャリアを歩いてきた人です。大学院でMPA(公共経営学修士号)を取得後、フロリダ州オーランド市の市警に採用されて以来27年、叩き上げの警察官として最後は警察署長まで出生した人です。ですから、現在問題になっている警察改革をテーマとした選挙戦にはハマる人材と言えます。

但し、27年も「ディズニーワールド」を守ってきた警察署長ということですから、もしかすると現在の価値観では許されないような「人権を無視した事件の処理」などに関与していた可能性はあると思います。その辺が「身体検査」で引っかかるようだと、ダメでしょう。

(人気6位)「スーザン・ライス元国連大使、元安保補佐官」

オバマ外交の一端を担っていたライス氏、伊勢志摩サミットの際にはオバマと一緒に来日していますから日本でもおなじみです。64年生まれの55歳。外交重視ということなら、という意味でのリスト入りなのだと思います。もしかしたら、副大統領候補にはならなくても、ここで知名度を上げておいて、政権発足時には国務長官などに抜擢することも考えているのかもしれません。

共和党からは、ベンガジ事件など「アラブの春」などで「手ぬるい外交をやった」として憎まれているのですが、この人にはかなり「リベラルホーク」に近い強硬派の匂いがします。ルワンダ危機、南スーダン問題、ナイジェリア問題など、アフリカの人道危機に対して強い問題意識を持っている人だけに、仮に政権入りするようですと、良くも悪くもアフリカを舞台に中国との対決を志向するかもしれません。

ちなみに、オバマの「広島献花」においては、彼女は水面下でアメリカ側での根回しをやったのは事実だと思います。ですから、日本の外交当局などは恩義を感じて行くべきとも思うのです。それはともかく、副大統領候補としては、可能性は薄いのではと思います。

image by: Sheila Fitzgerald / shutterstock

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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