障害者を自殺に追い込む「マンション自治会」の闇。他人事ではない悲劇の教訓

 

さて、「うつ」の夫を抱えて困っている妻に対しては…今の理事に何を言っても難しい。夫の病気のことをその人たちに詳しく説明する必要もない。理事を出すグループ内のまだ理事をやっていない人で、話をしやすい人はだれかいませんか……と聞くと、同じ階に、いつも声を掛けてくれるやさしい高齢のご夫婦がいる…と。じゃあ、その方に思い切って事情を話して、理事を替わってもらうよう相談してみては…と言いました。

それで、妻は勇気を出して、そのご夫婦に相談に行きました。相手のご夫婦は、すぐ理解してくれ、理事の順番を変わることを快諾してくれました。理事を替わることを理事会に申し入れる書類まで作成してくれ、そこには、自分の順番が回ってきたときに、親の介護で理事ができなくなる可能性が高いから、早く理事の役割を務めたいので…という自分側の事情まで書いてくれていました。そして、また、何か困ったことがあったら何でも言って…と言ってくれたのです。

妻は、何だか、理事の順番が回ってきたことで、地獄と天国の両方を見たようだ。でも、おかげで、思い切って信頼できると思った人に相談したことで、とても気持ちが軽くなった…と。

コミュニティの中には、お互いが補い合い、助け合える余力があるはずなのに、杓子定規な平等意識と、相手の立場や気持ちに対する想像力の欠如が、壁をつくり息苦しさを生んでしまっているとしたら、それはもったいないことだと思います。

image by: Shuttetstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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