安倍マジックの正体。保守もアベガー勢も騙される次期総理と解散の行方

 

一方で、このタイミングの問題、特に解散総選挙の問題というのは複雑です。

どういうことかというと、今回9月14日(現時点での見通し)に決まる新総理による政権は、一種の選挙管理内閣のようなものですが、ただ、解散権行使というパワーだけは与えられるわけです。そこで、次のようなことが言えます。

まず「次」を狙う人物は、解散のタイミングに勝負をかけることになります。そして、解散総選挙で勝てば本格政権を発足させることができるわけです。

一方で、「次」に負けた政治家は、「次の次」を狙うことになります。つまり「次の政権」が総選挙で負けて退陣するが、引き続き政権を担えるだけの議席数は与党として選挙で確保するというのが条件になります。加えて、自分の同志が多く選挙に通って来るということも必要です。

ということは、例えばですが、本稿の時点で有力と言われている菅さんとしては、組閣が非常に重要になります。ライバルを取り込むことが非常に重要だからです。閣内に引っ張り込めば、勝っても負けても一蓮托生になるからです。

不気味なのは小池知事で、全く何も動かないという選択も勿論あるわけです。ですが、今回の政変は傍観するとして、解散総選挙となった場合に動くのか、動かないのかというのは大きなポイントになります。

そう考えると、大事なのは解散のタイミングです。

そこで問題になるのは、就任して即解散ができるかという点です。ここは非常に難しいのですが、菅氏の場合は、総理の健康問題という不測の事態のために自分が継承したが、自分に関する民意を問いたい、安倍政権を支えた自分としては、その年月も含めた評価をしてもらいたい…そんなカッコいいセリフと共に解散したいのかもしれません。

ですが、そうなると、河井問題、これに加えて森友などの問題も引きずってしまいます。

もしかしたら、そうではなくて、菅政権は過去の安倍政権とは距離をおく、つまりアベノマスク、河井問題、森友+加計といった問題に関しては、自分は距離を置いたとして、むしろ淡々と解明に向かうというような突き放しをして、なおかつ、この9月から10月にかけて仮に大規模な台風の接近などがあった場合は、安倍体制以上にプロとしての危機管理能力を見せつける、その上で解散ということもあります。

ですが11月の中旬まで引っ張ると、仮にバイデン当選の場合に岸田氏が「バイデンとはツーカーだ」としてアピールしてくるとか、第3四半期のGDPで厳しい数字が出てくるといった問題があって面倒…となると解散は10月後半という考え方もできます。

早期解散か、10月後半か、いずれにしても仮に菅政権となった場合には、緻密な計算の上での果断な判断が求められると思います。

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