元ミス同志社アナリストが解説。日本株に投資するバフェットの真の狙いとは?

 

商社投資はリスク分散?

先ほど述べたように、商社は幅広い産業に関わっているため、「商社に投資すること自体が分散投資になる」との見方もあります。そして、バフェット氏はどこか1社だけに投資したのではなく、日本の5大商社をまとめて購入しました。この取得方法からも、リスク分散していることが伺えます。

商社のなかでも得意とする領域が違うため、5社に全て投資することでリスク分散しながら、日本の商社業界そのものに投資をしたと言えるでしょう。

コロナ危機によって世界の株価は大きく値下がりしましたが、金融政策によって株価の回復が進んでいます。しかし、株価が大きく戻った筆頭はアップルやマイクロソフトといったプラットホーム企業です。

アフターコロナの世界では、デジタル化がさらに進むという見通しから、これらの値動きは当然の動きではありますが、上がり切った銘柄の高値をさらに追うといった状況になっています。

バフェット氏は元々、割安で安定銘柄に長期投資する投資手法を得意としていますので、バフェット氏が買える銘柄は極端に少なくなってきているのです。

また、バフェット氏は日本株や金に投資しないことで有名ですが、コロナショックの中で彼の投資行動が大きく変わっているとも言えるでしょう。日本の5大商社株を取得し、金鉱山の株も買っています。

危機的な状況の中では、今まで有り得ないと思われていたことが普通に起きるのです。こういった危機の中だからこそ、当たり前を疑い、柔軟に対応していく必要があるでしょう。

アフターコロナは日本株に光があたる

バフェット氏は日本の商社株が割安だというだけでという考えではなさそうです。なぜなら、バークシャーは傘下の事業会社にエネルギー企業を抱えていますので、日本の商社との協業も視野に入れていると言われています。純粋な株式投資だけではなく、ビジネスでも連携していくということになりそうです。

今回のバークシャーによる日本の5大商社への投資は、「日本への投資」という側面が大きく、世界の投資家があらためて、日本株を見直すきっかけになるでしょう。

image by : 著者提供

馬渕 磨理子(まぶち・まりこ)

京都大学公共政策大学院、修士過程を修了。アベノミクスが立ち上がった時期に法人でトレーダーの経験を経て、フィスコ企業リサーチレポーターとして、個別銘柄の分析を行う。認定テクニカルアナリスト(CMTA®)。全国各地で登壇、日経CNBC出演、プレジデント、SPA!など多数メディア掲載の実績を持つ。また、ベンチャー企業でマーケティング・未上場企業のアナリスト業務を担当する、パラレルキャリア。大学時代は、国際政治学を専攻し、ミス同志社を受賞している。
Twitter https://twitter.com/marikomabuchi

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