なぜベガルタ仙台は破産危機に陥ったか? J1に居続けたことが裏目に

 

「無謀なチャレンジ」だったのか…

仙台にとって2020年は「勝負の1年」だった。渡邉晋監督が退任して木山監督を招聘したが、2019年にかなりの額の赤字が出たことを把握した上で大型補強に乗り出している。安定志向ではなくてリスク覚悟でお金をかけて好成績を残すことで観客動員を増やしたり、カップ戦などの賞金獲得を目指したと思うが、目論見どおりには話は進まなかった。ルヴァン杯はGL敗退、天皇杯はJ1のリーグ戦で2位以内に入らないといけないので出場することすら難しい。先のとおり、コロナと成績不振が原因で観客動員数は激減している。

「結果を出さないと大変なことになることは覚悟した上でギャンブル的な動きを見せた」と言えるがうまくいかなかった。「ギャンブル的な動きをせざる得ないほど追い込まれていた」とも言えるがJリーグのリーグ戦で思い通りの結果を残せるクラブは少数である。新型コロナが無くて、かつ、リーグ戦で3位以内に入ったり、天皇杯やルヴァン杯などでタイトルを獲得できたら一気に状況は好転したと思うが、昨シーズンまでの成績や開幕時点での自チームの戦力値などを加味すると「危険な賭けだった」と言わざる得ない。

開幕前にもFW山田寛とDF柳を期限付き移籍で獲得しているので「怪我人が続出したフォワード陣や新戦力のDFパラがフィットしきれずに不安を抱えていた左SBの手当て」は迅速だったが積極的に動いたことも経営をさらに悪化させたと考えられる。毎年、安定志向のクラブ運営を続けていたらクラブは停滞するので「数年に一度、勝負に出る」というのは必要なことだと思うが、「結果が出なかったとしても何とかなる」という状況でないと「無謀なチャレンジ」とみなされてしまう。「リスキーだった」と言われても仕方がない。

14節のG大阪戦(H)から6連敗と苦しんでいる。例年であれば残留争いに巻き込まれている成績なので木山監督の解任論を唱える人は増えてきたが「上位争いに参加すること」も「タイトルを獲得すること」もほぼ無理である。「どういう契約になっているのか?」は分からないが違約金が発生する可能性もあることを考えると解任という決断を下すのは難しい。昨オフにJ2の山形から引き抜いた監督なので「仙台と1年契約を結んでいる」というのは考えにくい。「少なくとも2年契約を結んでいるのではないか?」と思われる。

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