親が住むマンションで建替えが検討され始めたら子はどうすべきか

 

この段階になって、離れて暮らす息子さんにSOSを出す場合もあります。息子さんにとっても、一人暮らしの親が、突然、今のマンションに住み続けられなくなるというのは危機です。将来の資産価値の問題なら、今、建替えをすることは決して悪くはないと、頭では理解しても、ここに住み続けたいという親の気持ちを思うと、親が元気なうちは何とか建替えは阻止したいと思うでしょう。でも、この段階で、建替え決議を止めようとしてもうまくいかないのです。法的な瑕疵を探して、なんとか決議を止めとうとする、場合によっては決議をひっくり返そうとする…そういうことが繰り返されてきました。

このまま、ずっとここに住み続けたい、建替えは、自分が死んでからにしてほしい…と思う高齢者の存在は、建替えを進めたい人たちにとっては、最大の難関ですが、逆に言えば、一番、大事に扱わなくてはならないことでもあります。人の人生に深く関係することですから、決して軽く扱ってはダメなのです。

その場合に、離れて暮らす子供の存在が大きいと思います。高経年マンションに親が暮らしている場合は、実家に帰った時に総会の議案書ぐらいには目を通し、マンションの将来のことを話題にする…管理組合としては、重要な局面の検討をしている場合は、積極的に子供世代ともつながり、理解を得る努力をする…そういうことが、建替えの合意形成には大事なことだと改めて思いました。

早い段階から、高齢の親の代わりに建替えの検討に積極的に関り、高齢者が不安に思わないように手を尽くして、建て替えを成し遂げた事例もあります。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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