「離婚したら元配偶者から年金が半分貰える」を決して信じてはいけない

shutterstock_661581577
 

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ことしはいわゆる「コロナ離婚」が増えたと言われています。紙切れ一枚で婚姻関係は終わるとはいえ、生活にさまざまな影響を及ぼします。年金もそのひとつ。離婚をする際、今まで支払ってきた年金額はどのように分割されるかご存知でしょうか。「元配偶者から半分貰える」という話を信じている人も多いようですが、実は間違いなのだとか。今回の無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』では著者のhirokiさんが、離婚の際の年金分割について詳しく解説しています。

元配偶者から半分の年金を分けてもらうという誤解と考え方のコツ(年金の離婚時分割)

来月の話なんですが11月4日の第162号での有料メルマガで、「離婚した時は女子は年金額が不利になる事が多い理由と、離婚時年金分割で年金を増やす」のテーマの事例を書くんですが、それに関連して今回は考え方を覚えてほしいと思います。

すごく簡潔にしてみます。

女子の年金は男子の貰う年金よりも明らかに低い事が多いです。老齢の年金に関しては。個人的な感覚としては、全体の70%くらいは男子の年金のほうが高いという感触です。女子より男子の年金が高い事が多いなんてちょっと許せない!と思われるかもしれませんが、年金計算自体に男女差はありません。

ただ、この差異は時代の違いや、雇用の面での女子の給与がどうしてもまだ男女差が生じてしまう事から、年金額に差が生じてしまいます。特に昭和時代が長かった人は、年金の男女差は顕著です。なので熟年離婚がよく行われる現代ですが、熟年離婚はそのまま女子の貧困に直結して危険な面を孕んでいます。

このような危険もあるので平成19年4月からの年金改正からは、離婚した時に年金が多いほうの配偶者から年金が低いほうの配偶者に年金を最大50%(半分)分けてもらう年金の離婚分割制度が誕生しました。その年金の離婚分割の考え方をザックリと復習します。

さっき年金が多いほうの配偶者から、低いほうの配偶者に最大で50%の年金を分割すると言いました。年金は最大で半分分けてもらいますけど、貰ってる年金の半分を単純に分けてもらうのではなくて分けるのは厚生年金のみです。

たとえば老齢基礎年金を60万円、老齢厚生年金を100万円もらえてる夫から年金を50%貰うっていうと80万円貰うっていう感覚になりますよね。もし、元妻が老齢基礎年金50万円+老齢厚生年金20万円を貰っていたなら、80万分けてもらうと150万円になるという感じでしょうか。まあ…年金の離婚分割をやると考えてる相談者様の多くはこの考え方で期待されてます(笑)。

でも分ける場合は夫の老齢厚生年金のみの100万円の部分だから、最高で50万円を分けてもらえるって事ですね。だから、妻には50万円の年金が増えるって事か…と考えてるかもしれませんがちょっと待った。

夫の老齢厚生年金が多いですが、夫100万円で妻が20万円の年金の状態で夫から半分の50万円を貰ったら、夫の年金は50万円になって、妻は70万円になってしまいますよね。年金が低かった方が、分割した事で金額が逆転してしまいましたよね。

果たしてそんな事が公平でしょうか?いくら何でもそういうアンフェアな事はしません。

print
いま読まれてます

  • 「離婚したら元配偶者から年金が半分貰える」を決して信じてはいけない
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け