で、本題はここからです。なぜ鬼滅は大正時代の設定なのでしょうか?
最大の理由は、まずキャラデザインでしょう。江戸以前を舞台にするとちょんまげにしなければならず、さすがに21世紀のヒーローとして無理がありますw 大正時代であればまだ和服も日常的だったので、和洋折衷のキャラデザインが可能です。作品に「和のテイスト」を盛り込むのは『銀魂』や『NARUTO』にも見られたように、海外ファンを獲得するためのジャンプの王道戦略です。
しかし、それだけなら明治時代でも構わないはずです。なぜ明治ではなく大正なのでしょうか?
これは、鬼滅が「ノスタルジー」を意識しているためです。
人間がノスタルジーを感じられる限界は、だいたい「祖父母の幼いころ」までです。明治時代は西暦1912年までなので、今や明治生まれの人はほとんどいません。今の子どもにとって、明治はもはや自らの人生と無関係の「遠い歴史」なのです。あまり臨場感を持てません
近代日本を舞台に物語を描くなら、間違いなく大正時代がベストです。鬼滅もその原則を忠実に守っているわけです。
鬼滅には以前、僕が発表したレポート「ストーリー創造の極意」に紹介したヒット作のレシピが幾重にも盛り込まれています。
すなわち、鬼滅は偶然ヒットした作品ではなく、手塚治虫から受け継がれてきた正統派の「再現性」があります。あの面白さは言葉できちんと説明できます。鬼滅の魅力をより本質的に理解したい人は、ぜひ読んでみてくださいね!
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