『からくりTV』プロデューサーが明かす「ご長寿早押しクイズ」ヒットの仕掛け

 

『からくりTV』の多重視点構造

まず、さんまさんの場合は、『からくりTV』は他のさんまさんの番組と圧倒的に違うところがありました。それは、《ロケ企画VTRをさんまさんに見せて、さんまさんに面白がってもらう》という点です。圧倒的にさんまさんの番組は、さんまさんが、出演する演者や一般人をいじって面白くすることが多いです。その稀有なテクニックが、日本一と言っていいいじりの反射神経が、まさにタレント・明石家さんまの真骨頂なわけですから、どの局の番組スタッフもその“いじり”が有効になるような企画を考えます。

そして『からくりTV』も当初はそうでした。それは、からくりTVがクイズ番組であり、回答者がいかに、面白く答える?その回答者のボケや言い回しをどう捉えていじり倒すか?それがさんまさんの腕の見せ所であるからなのです。しかし、その当初の30分番組のクイズ番組というコンセプトは1時間に枠拡大したことで、まさに拡張されます。それまでは、いかにスタジオでゲスト・レギュラー回答者がボケやすいか?という形で問題or問題VTRを検討していましたが、放送時間が長くなったことで、そのVTR問題の放送時間(=尺)も次第に長くなっていったのです。

そこから、ロケ企画がどんどん生まれ、「からくりビデオレター」や「ファニエストイングリッシュ」、「サラリーマン早押しクイズ」、「玉緒が行く」、「みんなの替え歌」等の傑作企画が誕生するわけです。そういう意味で、それらの企画はクイズの出題VTRでもありつつ、さんまさんを面白がらせるための一般人/タレントのロケVTRでもあるのです。

そして、上記に挙げた名物企画に加えなかった、この『からくりTV』で一番有名なVTR企画があります。それは「ご長寿早押しクイズ」です。御長寿の皆さんが、司会の鈴木史郎さんが10問出題し、誰が優勝するか?という至って普通なクイズなのですが、この企画の秀逸な点は、その早押しの際の御長寿の皆さんの珍回答なわけです。そこに爆笑が生まれますし、その珍回答の光景を見て、笑うさんまさんやレギュラー回答者の関根勤さんのリアクションワイプが、話題になったこともありました。

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