『からくりTV』プロデューサーが明かす「ご長寿早押しクイズ」ヒットの仕掛け

 

ではそんな番組を代表する名物企画をなぜ、上記では挙げずに、ここで言及しているのか?それは、この「ご長寿早押しクイズ」は、他のコーナと違う点があるからなのです。それは、この「ご長寿早押しクイズ」は番組内でスタジオの回答者が数々の出題の早押しクイズの当てっこ(ぼけ合戦)をした後に一番勝った優勝者が、さらに最後に景品をもらえるかどうか?の3択クイズ=“からくりチャンス”の出題になっていることなのです。

つまり、『からくりTV』とは、早押しクイズ番組の優勝者の景品獲得クイズの出題VTRが御長寿の早押しクイズになっていて、そのどちらのクイズも勝利を目指しつつ、実は勝利することより、この企画の本質は、《どれだけさんまさんを笑わせられるか?》であり、そのさんまさん(と他のスタジオ出演者)が笑っているスタジオワイプを見て、さらに視聴者が笑う、という多視点構造になっているのです。

なんで、こんな面倒な仕組みになっているのか?でも複雑なこのメタ視点構造は『からくりTV』以外にも多くの日本のバラエティ番組で見受けられる構造です。この複雑にガラバゴス化した進化(退化?)を遂げたバラエティ番組の構造を深く検証・解明することで、新たなメディア理論が出来るのではないか?というのが、冒頭で挙げた角田理論の布石でもあるわけなのでした。

『金スマ』の失敗と成功

一方で『金スマ』の構造は、どうなっているのでしょうか?中居正広さんの新番組を立ち上げるにあたって、我々が当初考えたコンセプトは、これまた偶然なのですが、日テレの大人気の深夜番組でさんまさんの番組『恋のから騒ぎ』なのでした。中居さんがあの番組のさんまさんの様にスタジオのいる一般女性のさまざまなエピソードをいじるエピソードトーク番組ができれば、まだそういう感じのまわしをやっていない当時の中居さんの新骨頂が新番組で出せるのではないか?そう考えて立ち上げたのでした。

なので、スタジオには100名の女性がおり、その観覧者と出演者を兼ねた女性をを配置するため、中居さんはじめ、スタジオのタレント出演者の後ろに彼女たちを背負う形のスタジオセット構成になったのでした。

こうして番組初回収録2週間前に、そのセットで1回シミュレーションをやってみました。しかし、そこでカメラを通した映像を覗いて見て、我々は初めて気づいたのです。出演者の後ろに、いろんな私服の女性が百人もいると、前のタレントさんたちと画が重なってしまい、ごちゃごちちゃして、美しくもなく、また視聴者にわかりにくい絵柄になってしまったのです。「これは、まずい!」となりました。でも今から全く新しいセットを作るのは、予算的時間的に厳しいです。

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