五輪で11個のメダルをもたらした世界的「柔道着メーカー」の実力

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アディダスやミズノといった世界的な企業を相手に回し、一歩も引かない柔道着メーカーが存在するのをご存知でしょうか。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、世界のトップたちが絶大な信頼を寄せる「九櫻」の戦略と戦術を分析・解説。そこには他社が決して真似できない「独自の資源」がありました。

独自性

今号は、世界の柔道家に認められる柔道着メーカーを分析します。

株式会社九櫻(柔道着などの武道に関わる製品の製造・販売)

丈夫で着心地の良い柔道着を探している方をターゲットに「独自に培ってきた技術」に支えられた「着心地が良く、耐久性が高い」等の強みで差別化しています。

見た目では差がわかりにくい柔道着だからこそ、実績や品質をアピールすることで、ユーザーの認知度を高め、国内外で選ばれるブランドになっています。

■分析のポイント

武道に関わりのない方で九櫻(くさくら)と言う名前を知っている方は少ないと思います。ですが、柔道着メーカーとしては世界でもトップブランドの一つと言えるほどのブランドです。競争相手が巨大スポーツブランドであるadidasやMIZUNOであることを考えると、従業員数も100人に満たない企業のブランドが健闘していること自体が素晴らしいことだと思います。

今回は、なぜ、九櫻が世界的な柔道着ブランドとなっているかを考えていきたいと思います。

今回のポイントは、一貫生産と歴史です。HPにも

世界中探しても生地から柔道着を一貫生産できるメーカーは他にはありません。

と記載があるように九櫻は自社で全工程を対応しています。

  • 生地づくり
  • 染め上げ
  • 裁断
  • 縫製
  • 検品
  • 刺しゅう

これらの全工程に目が行き届くことは、高い品質を維持する上で役に立ちますし、何といっても、カスタマイズに対応しやすいことが大きなメリットになります。トップクラスの柔道選手の細かい要望にも対応がしやすいことは、選手側から見ても、九櫻は魅力的に感じるでしょう。

そして、九櫻は、柔剣道衣制作製造加工業として創業したのが1918年ですから、積み上げてきた圧倒的な歴史を持っています。一つひとつの工程で、長年にわたり技術を蓄積してきたことが、強みを支える独自の資源となっているのです。

ひとつの工程の技術ではなく複数の工程で蓄積してきた技術の組み合わせがあってこその「内柔外剛」ということです。

当然ですが、複数の工程で培った技術の組み合わせを他社が真似しようと思っても、困難です。つまり、独自性があるということですね。この独自性が唯一の価値につながっているわけです。独自性は一朝一夕では築けないということを示した好事例だと思います。

今後、九櫻が世界でどのようなブランドになっていくのか注目していきたいです。

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