コロナ禍でボーナスがないという悲痛な声も聞こえてきますが、ボーナスの楽しみがあるから会社員を頑張っていられるという人もいるのではないでしょうか。そのボーナスの支給額は基本給の○ヵ月分とする会社が多いのはなぜなのでしょうか?メルマガ『萩原京二の「ワークリテラシーの教科書」~ニューノーマル時代の働き方』では、労働契約エージェントの萩原京二さんが、約束通りの報酬はもらえていても基本給の低さに不安を感じている読者の質問をきっかけに、いまさら聞けない給与、賞与、退職金の関係と違いについてレクチャーしています。
給与、賞与、退職金の関係
<質問>
転職をしたのですが、給料は年俸制です。でも、給与明細を見てみると基本給が非常に低く、その代わりに色々な手当がたくさんついています。総額的には約束通りの金額になっているのですが、これって大丈夫なんでしょうか?基本給が安いことで、将来的に何か損をすることはないのでしょうか?
<回答>
前回に引き続き、今回は給与の決め方についてお伝えします。まずは毎月の給与について。給与は「基本給」と「手当」で構成されています。基本給というは、年齢や勤続年数、能力や成果などによって決められます。
手当に関しては、「通勤手当」「家族手当」「住宅手当」など、その会社のルールによって様々なものがあります。ですから、就業規則でご自身の会社の給与体系(基本給や手当の内容)をきちんと確認しましょう。
次に、「賞与(ボーナス)」です。賞与は必ず支給されるものではありませんが、多くの企業で夏と冬の年2回支給されるケースが多いと思います。支給額については、会社の業績などによって変動します。
そして、「退職金」。これは会社を退職する際に支払われる一時金です。勤続年数に応じて金額が決定されることが多いので、定年退職の場合には非常に大きな金額になります。しかし、退職金も必ず支給されるわけではありませんので、こちらも就業規則できちんと確認をしておきましょう。
ここで重要なことは、「給与」「賞与」「退職金」というのは、以下のように「支給の目的」や「評価の視点」がそれぞれ異なるということです。
- 給与・・・生活の安定=中期的な視点
- 賞与・・・業績の配分=短期的な視点
- 退職金・・賃金の後払い=長期的な視点
これまで多くの中小企業では、「賞与は基本給の2か月分」とか、「退職金は基本給の〇〇ヶ月分」といったように、すべての賃金を基本給をベースに計算をしてきました。しかし、上述の通り、そもそも給与、賞与、退職金というのはまったくの別物ですから、基本給を基準に計算する明確な理由はどこにもありません。
強いて言えば、「わかりやすい」とか「計算がラク」ということでしょう。ですから、今後は給与、賞与、退職金は切り離して運用されるようになるというのが、「時代の流れ」です。
詳しい解説につきましては、以下のビデオをご覧下さい。
★ 労働契約エージェントが教える(給与明細の見方とは?)
★ 労働契約エージェントが教える!(給与・賞与・退職金の関係とは?)
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